ため息1つ-3
「え〜っと。私は吉岡先輩とランチを食べるために呼ばれたんでしょうか?」
加奈ちゃんは美味しそうに大学近くのファミレスで
俺の目の前で今日のランチを食べている。
「加奈ちゃんだよね?山崎と付き合ってるの?」
「はい」
「なんで君みたいな子が・・・?」
山崎の今までの相手はキレイめな派手な子で
1晩限りでも構わない。というような子だった。
「やっぱり、私なんかが山崎くんには不釣合ですよね・・」
フォークを持つ手を止め、うつむき加減でそんな言葉を発する。
不釣合なのは君じゃなくて山崎の方だよ。
山崎はきっとこうやっているあいだにも浮気してる・・・
俺は近頃の中で1番といっていいほど必死で
この子がきっぱりと山崎と別れる方法を考えている。
そんな自分が珍しくて
やっぱり笑っちまう。
「今日・・・山崎に頼まれたんだ。
加奈ちゃんと別れたいから俺が話をしてくれって・・・」
ずるい話だとはわかってるし
山崎が女と別れる時に
人任せにしないことは百も承知だ。
人任せにする必要がないから。
あいつは冷たくきっぱりと女を切り捨てる。
自分で・・・
「え・・・」
そう言ったとたん、
加奈ちゃんの両目からポロポロと
涙が流れていた。
あんな奴のために泣くなよ。