ため息1つ-2
着信が山崎だと確認すると
俺はすぐさま電話に出る
『吉岡?食堂にいるんだろ?加奈に会った?
1万円。もう少し待って。その代わり加奈を貸すから』
「山崎・・・お前何してんのかわかってんの?」
『分かってるよ。加奈、今まで吉岡の周りにいないタイプだろ?
楽しめよ。じゃ、またな』
そう言うと次の瞬間電話は切れていた。
「あの・・・」
電話を切ったあと
山崎が加奈と呼んでいた子を
俺は椅子に座ったまま見上げた。
加奈ちゃん。この子だよな?
「山崎に何て言われてきたの?」
「2〜3時間、吉岡先輩に付き合えって」
2〜3時間・・・ね・・・?
「よし!んじゃ、付き合ってもらおうか」
俺はそう言うと
みんなの視線を一心に受けた
この窮屈な食堂から抜け出るために
加奈ちゃんの手をつないで歩き出した。
キャ〜!
食堂からいくつか聞こえた小さい悲鳴は
聞かなかったことにしよう。
俺は柄にもなく
どうすればこの子を傷つけずに
山崎と別れさせることができるかを
考えていた・・・・