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バレンタインのご褒美
【OL/お姉さん 官能小説】

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エレベーター-2

「えっ、やっ。重いでしょ?」

慌てふためく私とは対照的に落ち着いている村上。

「こらこら暴れないの。っつーか、秋月さん軽すぎっすよ。ちゃんと飯食ってますか?」

「た、食べてるわよ」

「オレ、秋月さん食べたいな」

「へ?」

唇に柔らかいものが触れて、言葉を遮られる。
触れたそれが村上の唇だと気づいた時には、村上の長い指があごに触れて口を開かされ、村上の舌が侵入してきていた。

…や、やだ。村上ってばキス上手…

抵抗することも忘れて、村上のキスに流される。
私を抱きかかえていた片方の手が胸に触れた時、慌てて抵抗した。

「ダメっすか?」

「だっ、だって救助の人くるしっ、防犯カメラだってついてるしっ」

「秋月さん、突っ込むところソコっすか?」

村上の呆れたようなからかうような声。

「ってことは、オレとこーゆーことするのイヤじゃない、って自惚れていいっすか?」

耳元で囁かれた低い声が、普段の村上からは想像できないほどセクシーで、子宮に響く。
恥ずかしくて村上の胸に顔を押し付けて頷いた私の頭を、村上はまた優しく撫でてくれる。

「ここから出れたら、速攻ウチにお持ち帰りしてもいいですか?」

首筋に唇を這わせ、また耳元で低く囁く。

「えっ、あっ、きょっ、今日っ?」

「もしかしてこれからデートとか?だったら行かせない」

ちゅうっ、と音を立てて首の付け根を吸い上げる。

「デ、デートしてくれる人なんていないわよっ。いたら残業なんてしないっ。きょ。今日は下着可愛くないからっ」

執拗な村上の口撃に息も絶え絶えになりながら答える。

「下着なんてすぐ脱がしますから関係ないっすよ。まぁイヤだって言っても強引に拉致りますけど」

爽やか好青年な普段の村上からは想像もできない発言にクラっとくる。
でも、キライじゃない私は問題があるのだろうか。

「わ、わかったわよ。だから離して」

暗闇に目が慣れてきたせいだろうか。
村上の存在を視覚として認識できる。
あぁ、やっぱりいい男。
こうして腕の中にいるのも、ちょっと強引なキスも誘いも何かの間違いかもしれない。
でも、きっとこれはご褒美。
そう思いこむことにしてそう切り出した私を村上が笑う。

「もう小春ちゃんは素直じゃないなぁ。でもそんな小春ちゃんだから好きになったんですけどね」

まるで子供の頭でも撫でるように私の頭を撫でてからかう村上に、心がざわつく。

「小春ちゃん、顔真っ赤」

「う、うるさい」

余裕たっぷりな笑顔がふいに真顔になり、また唇を奪われた。

「これ以上したら、押し倒しちゃいそうだから、ウチにつくまでお預け」

唇を離すと村上が笑う。

「でももう少しだけこのままでいさせて」

そう言うと優しく私を抱き締める。
数十分後、エレベーター会社の人が外から声をかけてくれるまで私たちはそのまま抱き合っていた。


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