強い君・弱い君-1
第4クウォーター終了20秒前、俺はディフェンスを振り切り3ポイントラインへ走り抜ける。そこへガードの一馬からの絶妙なパスを受けシュート、右手のケガをかばっている暇はなかった、ボールは高く弧をえがきそして…
「よし、じゃあ、ダウンして今日はここまで、1年はモップ頼んだぞ、解散。」今日も大変だった部活が終わった。俺は高松悠也、バスケ部でキャプテンをしている。
「悠也、そっちも終わった?」
挨拶も終わり自販機でお茶を買っていたら、山本さくらが話し掛けてきた。さくらは女バスのキャプテンで、俺の幼なじみだ。小1から高3までの12年間の腐れ縁だ、高校はクラスが一緒で席が隣どうしだ。
「男バス最近どう?練習きつくなったでしょ。やっぱり3年が2人だけじゃ大変だよねぇ。」
確かに、最近はインターハイの出場権を賭けた県大会まで2週間ということでかなり練習がきつい、うちは3年が俺とガードの高橋一馬の2人いないためなおさらだ。
「まぁ、2年も頑張ってるから大丈夫だろ。」
根拠の無い返事を返した。「今日も後ろ乗ってくだろ、早く支度しろよ。」
さくらとは家も隣のため、毎日俺が自転車の後ろに乗せ帰っている。 「ありがと、すぐ支度してくるね。」
さくらは急いで部室に戻って行った。
「ねぇ悠也、寒くない?肉まんとか食べたくない?」「俺は食べたくない、どうせまた、俺のおごりだろが。」
さくらはいつも帰りに何か食べようと言ってくる、しかしすべてが俺のおごりなのだ。
「えぇ〜、いいじゃんまた今度おごるからぁ〜、だめ?」
そう言って俺横から顔を出し首をかしげる、その殺人級の可愛さ、160?と小柄な体格に肩まである黒髪、顔は高3とは思えぬ童顔で クラスの中でも1番だろう。
「仕方ない、わかった、買ってやるよ。」
俺は近くのコンビニに向かった。あの笑顔で聞かれたら良いと言うしかないだろう、これも惚れた弱みだろう、さくらは昔からみんなの憧れでかなりの男子が狙っていた。
「やったー、ありがとね悠也。」
そんなさくらの笑顔を見ていられるだけでとても幸せだった。告白も考えたが、なんにせよライバルが多すぎる。それに今のままの関係を壊したくなかった 。「やっぱり肉まんはおいしいねぇ。」
肉まんをうれしそうに食べているさくらを後ろに乗せて走っていたらさくらが急に話し掛けてきた。
「悠也ってさぁ、好きな人とかいたりするの?」
「なんだよいきなり?」
「いやぁ、なんとなくね。それでいるの?いないの?どっち?」
「まぁ、いるにはいるんだけどなぁ。たぶん向こうは」