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ゆえとナオさん
【同性愛♀ 官能小説】

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第10話-1

すっかりキレイになった私たちは、ベッドに入って、
うす暗い部屋で落ち着いた気持ちでいます。
私はナオさんに寄り添って、まどろんでいます。
ナオさんの肌は、サラサラして、落ち着いた、においがします。
私はナオさんとした後の、この時間が大好きです。

「ゆえ、起きてるかな?」
「…はい」
ナオさんは静かな小さな声で話します。
「私、ゆえとの子供が欲しいよ」
「ええっ!」
私はすっかり目が覚めて、身体を起こしました。
ナオさんは静かに天井を見ています。
「もちろん今すぐじゃないよ。私たちは学生だし、特にゆえはまだ、中学一年生だもの。
準備ができていない。
でも、私が働くようになって、生活が安定するころには、ゆえも大人になってる。
そしたら、マリーにお願いして、遺伝子結合をしてもらおう。マリーと仲直りするよ。
あの時のマリーは私を遠ざけるために、あんな憎まれ口を言ったんだ。
私にわざと嫌われたんだ」
ナオさんは私のほうに顔を向けます。
「ゆえは私と結婚して、子供を生んでくれる?」

私は驚きと嬉しさで、胸がいっぱいになりました。
うれしい涙がたくさん出ます。私は唇が震えて言葉が出ません。
窓明かりに照らされているナオさんは、優しく私を見つめています。
ナオさんは静かに待ってくれています。

幼い私をいつも見守ってくれるナオさん。
とても優しくして、気持ちよくしてくれるナオさん。
キレイで頭が良くて、私の自慢のナオさん。
いいにおいのするナオさん。
大好きなナオさん…

「…はい。私もナオさんと結婚したいです。
ナオさんのパートナーとして、恥ずかしくない大人になります。
そうしたら、ナオさんとの赤ちゃんが欲しいです」
ナオさんは私に手を伸ばします。
「おいで、ゆえ。私の愛しい人」
私達はそれ以上言葉を交わす必要はなく、ただ抱き合って頬を寄せるだけで十分でした。




おひさまポカポカのベッドの上で、ナオさんとゴロゴロしています。
私たちが出会ってから、一年近くが経ちました。
私はナオさんの首に腕を廻します。

「ナオさんは成人して、ますますキレイですねぇ。うらやましいです」
「あら、ゆえだって…ゆえだって…」
「私は背も伸びないし、おっぱいも大きくならないんですよねぇ。
胸はもう少しほしいなぁ」
「私と走ってるから、身体が締まってキレイになったよ。
以前はもう少しポチャッとしてて、赤ちゃんみたいでかわいかったけど。
でも、最近色っぽくなったかな?とても、えっちな声を出すもの。私、せつなくなる」
「それはいいです…。子供といえば、お母さんたち一緒に暮らすそうです」
「恋人さんと、このマンションで?」
「はい。一年間付き合ってみて、お互いが良く分かったからって。
私たちとは全然ペースが違いますねぇ」

「で、子供といえば?」
「そうです、彼女さんに連れ子がいて、小学生の…五年生になったって言ってたかな?
女の子です。なんか、キューピッド役だったらしいですよ」
「へぇー、ゆえの妹になるんだね。カワイイ子かな?」
「どーですかねー。彼女さんは、お母さんと裸で抱き合ってたところを、
チラ見しましたけど、キレイな女の人でしたよ。…あっ、ナオさん目が光った!」
「あええ?」
「あやしいなぁ。ナオさん女の子好きだからなぁ。小学校五年生ですよ?」
「ゆえだって、会ったときは小六じゃない…」
「ますますあやしい。ダメですからね」
「チューくらいはいいでしょ?」
「まぁ、チューくらいは私もするだろうから…スキンシップより上はNGです!」
「あら、私たちだってスキンシップだわよ。お互いバージンだし、
アナルは排泄器官だもの、性器じゃないわ。
せいぜいペッティングね、セックスとは言えないわ」
「あわわ。じゃあ下着くらいは私がなんとかしますから…。
パンツでカンベンしてください」
「じゃあ、二人で嗅ごうよ」
「ええ、ええ。二人でなら…って、この会話の流れ、おかしくないですか?」
「そうかな? ゆえの妹なら、私の妹でもあるんだわ。
家族が増えるなんてステキ!楽しみね!」
「そっ、そうですねぇ」




今日はナオさんと、おでかけです。
川沿いに走って、河口の羽田まで行きます。私は小径車です。
今日の小径車は、帰りに電車に持ち込むために、軽くて折り畳めるトレンクルです。
「これはまた、軽いですねぇ」
「小径車のなかでも一番じゃないかな?お尻が痛くなるから、サドルは交換してあるよ」
「わわっ!玉乗りしてるみたい!」
「じきに慣れるよ」
私たちのマンションから川に出て、河口まで55キロです。

「暑いねぇ。ゆえ、お水ちょうだい」
「はい」
私は補給係です。ナオさんは上げず、下げずで淡々と走ります。
早くはないけれど、ほとんど止まりません。トイレ休憩くらいです。
車がいないので、お話ししながら川を下っていきます。

「川原には色んな人がいますねぇ」
後ろ向きに歩く人、特殊部隊みたいに顔を隠す女の人、口論している自転車乗り、
女の人を泣かせている男、ブルーシートの家に住む人…
川原にはナナメな人がたくさんいます。

景色もさまざまです。
ぬこが日向ぼっこしています。観覧車が見えます。バイクがたくさん練習しています。
新幹線が川を渡っていきます。高層ビルが増えてきます。飛行機が飛び立っていきます。
ゴールに近づくにつれて空と川が広くなっていきます。
小船が増えてきて、川というより海になってきます。
終わりの予感がしてきます。

ゴールには大きな赤い鳥居が立っています。すぐ向こうは飛行場です。
「はい、おつかれさま〜」
「あまり疲れていませんねー」
「こっから戻るのも有りよ」
「それは今度にしましょうよ…」


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