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魔眼王子と飛竜の姫騎士
【ファンタジー 官能小説】

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8 竜騎士の団長-3

 苦笑いしているエリアスが視界の隅に入り、カティヤは頭痛を覚える。
 普段はベルンとて、それくらいはわきまえている。仮にも騎士団長だ。
 しかし、妹の危機となると冷静でいられず、それにカティヤは少し責任を覚えている。
 兄がこうなったのは、例の陵辱事件いらいなのだから。

 実際、カティヤが身を守れるよう、槍や格闘技を熱心に教えてくれたのは兄だったが、騎士団に入るのを一番反対したのも兄だった。

「だいたい、兄さんも私も不在で、竜騎士団はどうするのだ」

「ディーターに任せてきたから心配ない。騒ぎがなければ一ヶ月くらいなんとかなるだろう」

 竜騎士団は、団長一人に副団長二人。団員十三人の、合計十六人で構築されている。
 もう一人の副団長ディーターに、カティヤは心中ですまないと何度も謝罪した。
 騎士団の仕事に忙殺される上、間違いなく兄の件で国王に叱り飛ばされているだろう。

「安心しろ、カティヤ。城に泊めろなどと図々しい事はいわん」

 兄は力強く宣言する。

「バンツァーと近くに野宿し、毎日お前の様子を見に来る事にする!」

「「「却下!!!」」」

 カティヤを含んだ他の三人が、即座に叫んだ。

「大騒ぎになるから、止めてくれ。こちらの民は飛竜を見慣れていない」

 額を押さえ、アレシュが苦言した。そして立ち上がり、カティヤの傍に寄る。 

「どうしてもと言うなら、城内に滞在していただこう。ベルン殿……いや、義兄上」

 暗褐色をしたベルンの眼と魔眼の間に、剣呑な視線の橋がかかった。

「アレシュ王子……カティヤは一ヵ月後、必ず連れて帰る」

 竜騎士団長のこめかみに、青筋が浮かぶ。


「よって、義兄さんと呼ばれる筋合いはなーーーい!!!」




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