4 塩の道-2
「しかし、なんとまぁ……アレシュさまはカッコつけて……」
カティヤの背後で、エリアスが必死に笑いをかみ殺していた。
「黙っていろよ」
ジロリと睨んで、アレシュは念を押す。
カティヤたちを連れ帰った後『飛竜についてかかれた本を、ありったけ持ってこい!!』と、図書の管理人に命じたのだ。
飛竜を飼いならせるのは、飛竜使いたちだけだ。
博識なエリアスでさえ、あまり詳しくなく、城の図書室にも文献はわずかだった。
エリアスの指示で、大至急で飛竜用に納屋が整えられている横で、ナハトが起きないように気を配りつつ、必死で飛竜のお勉強。
なんとか、基本的な習性くらいは判ったのだ。
「ええ。……くっく」
まだ口元をヒクヒクさせていたエリアスが、ふと外に鋭い視線を向ける。
「!」
その先を見て、アレシュも表情を引き締めた。
城の南塔に、赤い光が灯っている。
『殿下!!』
続いて、魔法の伝令が納屋いっぱいに不吉な言葉を叫んだ。
『塩の道にて、リザードマンの襲撃です!!』