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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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男友達-9

私達が沙織達の所に向かうと、沙織と大山倫平は防波堤から降りて笑顔で駆け寄ってきた。


「待ってたよー。お腹空いたあ!」


沙織の言葉を聞くと私と土橋修は、ほぼ同時に、


「あ……」


と、言葉を失った。


当初コンビニで何か買ってくると言ったことをすっかり忘れていたのだ。


「あれ? コンビニ行ったんじゃなかったのか?」


大山倫平は不思議そうに私と土橋修の顔を交互に見つめた。


「……コンビニ行くってのは嘘で……その……」


私がしどろもどろになりながら言いかけると、土橋修はそれを遮るような大きな声で、


「まあ、陰からずっとお前らのいちゃつきぶりを見させてもらってたんだよ」


と、笑いながら言った。


「え、ずっと見てたの……?」


沙織は目をまんまるくしてたかと思うと、みるみるうちに真っ赤な顔になって、大山倫平からバッと離れた。


「今さら離れたって、俺らはバッチリ見てたからな」


土橋修はニヤニヤしながら沙織の肩を叩いた。


「考えたらお前がコンビニまで買い出しなんて、そんな気の利いたこと言うわけねぇんだよな」


大山倫平は、はあっとため息をついて土橋修の頭をはたいた。


「何だよ、二人きりにしてやったんだぞ。十分気が利くだろうが」


「ん……まあな」


「でも、見ててすげぇじれったかったぞ。俺はキスくらいするだろうって期待してたのに」


土橋修がニヤニヤして言うと、沙織と大山倫平は顔を真っ赤にして固まった。


「せっかくお膳立てしてやったのに、倫平の意気地なし。一回したならどんどんやっちまえばいいだろ?」


「修!」


沙織は真っ赤な顔で土橋修の背中を叩こうと手を振り上げた。


だが、土橋修はひらりとかわして舌を出して見せた。


私はこの二人の様子を見て、大山倫平が今まで沙織に手を出さなかったわけがわかったような気がした。


そんな二人を眺めながら大山倫平は額に手をあてて、ため息をついた。


「あのなあ、オレだってできるもんならとっくにしてるんだよ。でも、沙織が本当にオレのことを好きになってくれるまでは……」


「倫平」


ため息をつきながらボソッと呟いた大山倫平の言葉を、沙織は静かに遮った。




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