男友達-11
しかし、大山倫平はホッとした優しい顔つきでいたのもほんの一時で、すぐさまニヤニヤした顔をこちらに見せたかと思うと、
「じゃあオレは修とのこと、うまくいくように応援するから」
と、耳元で囁いた。
私は、とっさのことに言葉を詰まらせ、
「ちょ、ちょっと! 何勘違いしてるの!?」
とどもりながらも彼を睨みつけた。
やっぱりコイツはすぐ調子にのる。
それでも、彼は動じることなく、
「ふーん……。オレは結構いい感じだと思うんだけど。修が自分からちょっかい出す女の子ってあんまり見たことなかったし。それにその服、修のだろ? オレらのこと覗いてたなんつって、ホントは何してたんだか」
とニヤニヤしながら視線を、少し先をゆっくり歩いてる土橋修の背中に移した。
「それは、私が寒い寒いって騒いでたから貸してくれただけだよ!」
私は自分の顔がどんどん赤くなっているのを感じながら言った。
薄暗くなった空のおかげで、それはバレてないようだけど。
「へぇ、そっかそっか」
大山倫平は、ほとんど棒読みのような抑揚のない口調で言うけれど、顔だけは相変わらずにやけている。
「大山くん、なんかムカつくわ」
私は、苦笑いしながら言った。
やっぱりこの人、ムカつく。
ムカつく……けど。
「やべぇ、また石澤さんに嫌われた」
大山倫平は一瞬焦った顔で私を見つめ、私は呆れたような表情で彼を見つめていたが、やがてどちらからともなくプッと噴き出して、大きな口を開けて笑い合っていた。