第2話 新妻の性癖-1
第2話 新妻の性癖
――朝
「じゃあ、行ってくるよ」
「はい。今日は遅いの?」
「いや、早く帰れると思うよ」
「じゃあ、夕飯は裕一さんの好きな物を作って待ってるね」
「それは楽しみだな。紗希の手料理は最高だからな」
玄関先で夫を見送る新妻。
仕事に行くだけというのに、二人は名残惜しそうである。
新婚夫婦の初々しい朝。
二人の周りには、幸福感が漂っていた。
「紗希」
妻を見つめる夫。
「なあに?」
「いつもの頼むよ」
裕一の手が紗希の肩を引き寄せる。
「もぅっ、こんな所で恥ずかしいって、いつも言ってるじゃない……」
怒ったような顔をする紗希。
しかし、言葉とは裏腹に、新妻は夫の胸に身を預けていった。
「いいじゃないか。俺達、夫婦なんだから。見られたって関係ないよ。ほらっ」
「もう……裕一さんったら」
裕一を見つめ返す紗希の顔は、赤らんでいた。
紗希は目を閉じ、口を窄めた。
裕一の顔が紗希の顔へと近づく……
チュッ……
朝から熱い口付けを交わす新婚夫婦だった。