精霊人-6
「んぅ……あ……」
痙攣が止まるとカリーは、糸が切れた操り人形のようにがっくりとゼインにもたれる。
ゼインはそれを受け止めて仰向けに倒れ、大きく息を吐いた。
「ハァ……凄っぇ……気持ち良い……」
「はふぁ……ふらふらするぅ〜…」
激しく動いた上に喘ぎ過ぎて酸欠状態のカリーは、汗ばんだゼインの首に顔を寄せて目を閉じた。
呼吸が整う間お互いの身体を擦ったり、唇を肌に押し付けたりの後戯をする……凄く落ち着く時間だ。
「そろそろファンに着くなぁ」
「そだねぇ〜…荷物片付けなきゃ」
2人は名残惜しそうに結合を解いて、もそもそと服を着た。
「そういやさ、スランとはキスしたのか?」
「ん゛?!」
ゼインの何気ない質問にカリーはビクッと背筋を伸ばす。
正確に言えば無理矢理されたのだが、した事には変わり無いので思わず挙動不審になってしまった。
ゼインはゼインで思った事をついうっかり口に出してしまった上に、動揺しまくるカリーを見て物凄く後悔する。
(聞かなきゃ良かった……)
(誤魔化せば良かった……)
2人の間には微妙な空気が流れるのであった。
スランに部屋まで送ってもらったポロは、よそよそしい態度の2人を怪訝に思いつつ船を降りる準備をする。
3人で甲板に行くと、ゼインとカリーの様子がおかしいのに気づいたスランがポロに視線を送ってきた。
何があったんだ?そんなスランの視線にポロは肩をすくめて見せる。
ポロにだって分からないのだ。
「足元気をつけてお降り下さーい」
船員の声に乗客達がぞろぞろ移動するのを避けて、ゼイン達4人は後方に並んだ。
スランはカリーの肩をちょいとつついて彼女を呼び止める。
「おい、カリオ……」
めしょっ
本名で呼ぼうとしたスランの顔面にカリーの鞄がめり込んだ。
「やあだぁ♪ごみんね?」
「……いや……」
正に瞬殺……カリーの赤茶色の目が一瞬、赤眼に見えた程の殺気だった。
カリーはスランの顔を診るふりをして彼に近づく。