精霊人-2
「このっ……!!」
ぼすっ
「うきゃっ!」
船内を駆け回っていた2人の勝負はゼインが投げたクッションで決着がついた。
後頭部にクッションを受けたカリーは振り向いたと同時にゼインに跳びかかられ、そのまま床に押し倒される。
「捕まっちゃった♪」
「はぁ……はぁ……何が…捕まっちゃった♪…だ……」
息を荒げてるゼインに対して、カリーはけろっとした顔。
わざとらしい事この上ない。
「はっ……何考えてんだ?」
わざわざ逃げ場の無い部屋に逃げ込んだのには何かあるんだろう?とゼインは聞く。
「んふ♪ヤろ?」
「…………は?」
聞き間違えじゃないかとゼインは間抜けな声を出した。
「マジで何考えてんだ?」
始めは嫌そうだったがひと晩付き合ってスランが気に入ったんじゃないのか?
だから、スランに気を許してるし一緒に行こうと誘ったんじゃないのか?
事実を知らないゼインの疑問は、全てカリーとスランの取引だ。
嫌そうにしてたのはお互いの正体を知っていたから……ひと晩付き合ったのはゼインとポロを守る為……気を許しているように見えるのは手出しをされない確信があるから……一緒に行こうと誘ったのはスランの雇い主に居場所を黙っていてもらう為。
カリー的には取引きでもゼインから見ると惹かれ合ってる男女にしか見えないのだ。
そんなゼインの内心が分かったカリーは、困ったように笑う。
「う〜ん……ひと晩付き合ったからこそなんだけどぉ……」
「だけど?」
「ゼインのが気持ち良いんだよねぇ」
ゼインお気に入りの表情でそんな事言われて嬉しく無いワケがない。
「……お前……俺の挿れすぎてガバガバなってんじゃねぇの?」
照れ隠しに憎まれ口をたたくゼインに、カリーは益々困った顔になる。