精霊人-10
「やぁん♪くすぐったい」
カリーは安心したのと、クインの可愛さに気を抜いてケタケタ笑う。
男3人はカリーの豊満な胸で泳ぐクインを羨ましそうに眺め、ポロはカリーの揺れる胸の方を羨ましそうに眺めた。
「つうか、何?これ?」
ゼインにこれ呼ばわりされたクインは、するりとカリーの腕から抜けてゼインの頭に噛みつく。
「うおぉっ?!」
「わぁ♪凄ぉい♪空中を泳げるんだぁ♪」
白いイルカを頭に生やしたゼインはバタバタと暴れ、カリーは両手を組んで感動した。
「クインは水の精霊だよ」
海の男は得意気に胸を張る。
「精霊〜?」
「そ。で、俺は精霊人」
「「「精霊人??」」」
聞いた事の無い言葉にポロ以外が声を揃えて首を傾げた。
「あれ?知らない??」
海の男は拍子抜けして4人を見つめる。
4人は知らない知らない、と同時に首を横に振った。
「いいかあ?精霊人って言うのはなぁ……」
海の男が誇らしげに説明しようとするのを、ゼインは手を出して黙らせる。
「……の、前に着替えさせてくれ……風邪ひく」
全身びしょ濡れな上にクインが頭にかじりついているゼインの要望により、一行は場所を移す事になった。
迷惑をかけたから、と海の男は一行を自宅に招いてくれた。
男の家はメインストリート沿いにある魚屋で、男の名前はケイ。
予想通り漁師だった。
ケイの(子供の頃の)服を借りたゼインはケイの部屋で着替える。
その間、残りの3人は店先に設置してあるテーブルについてお茶をいただいた。
カリーはお行儀悪くカップを片手に、店に並んだ魚介類を物珍しそうに眺める。
「漁には毎日出るの?」
「いや、うちは北の海をメインに漁をしててな。移動に時間がかかるから3日に1回ってとこだな」
「ええ?それって3日目の魚って腐りかけじゃん?」
「北でしか捕れない魚しか扱わねえから1日で売り切れらあ」
「あ、成る程」
確かに、並んでる魚の殆どは売約済みの印がついている。