決着-4
それから、ほどなくして紙袋を抱えた大山倫平が戻ってきて、言い合いをしている私達を不思議そうに眺めていた。
沙織がクスクス笑いながら事の顛末を大山倫平に話すと、
「あー、じゃあ今日はオレが全部おごるから!」
と言い、自分の財布から千円札と小銭を出して土橋修に渡した。
そしてシュークリームが四つ入った紙袋を私に渡すと、
「これ、オレらの分も食べていいから。その代わり、今日は沙織ちゃんと一緒に帰らせてよ」
と、手を合わせて言った。
自分の想いが通じたことが本当に嬉しいんだろう。
人の気も知らないで……と心の中で舌打ちをしている私のことなどお構いなしで、大山倫平はニコニコした顔で私の顔を覗き込んできた。
沙織はオロオロした様子で、私をチラリと見た。
多分、私の不機嫌な気持ちを察しているのかもしれない。
それでもなんとか私は黙って頷いて、受け取った紙袋をギュッと握った。
沙織の顔を立ててやったんだから、と自分で自分を一生懸命なだめて気持ちを抑え込んだ。
―――そういうわけで、沙織と大山倫平はいそいそと校舎をあとにして、残された私と土橋修が校門前でモサモサとシュークリームを食べている状況になっていたのである。
「おい、こぼしてるぞ」
「うん……」
土橋修は、シュークリームの中にたっぷり入ったカスタードクリームが口に入りきれずに地面にポタポタ零れ落ちる様子を、もったいなさそうに言った。
「……そんなに嫌か? あいつらが付き合うの」
核心をつかれ、シュークリームを持っていた手を膝に置いたまま黙り込んで、地面に落ちたクリームをボーッと見つめた。
それからボソッと小さな声で、
「……正直に言うと嫌。きっと沙織が誰と付き合っても、私は相手の男にやきもち焼いてると思うけど、なんでよりにもよって大山くんなんだろうって思う」
と、ようやく正直に自分の気持ちを口に出した。
「まあ、気持ちはわかるけどな」
土橋修は二つ目のシュークリームにかじりついた。
そんな彼をチラッと横目で見ながら私は、
「でも……」
と、言い辛そうに続けた。