ハートのクイーン-6
ヒロくんはドカっとあたしが潜り込んでいるベッドの端に座ると
布団の中のあたしに話しかけてきた。
「頼むよ。ナオ。いい加減電話に出てくれよ。
きちんと話をしよう。」
そんな困った声で言ってもあたしは騙されないんだから・・・
「ナオ。好きなんだよ。。。。。」
え?
「ナオ。マサがバイトに呼ばれて
6年ぶりにナオと話すチャンスに恵まれて
思わず手を出しちまった。ごめん・・・
でも、とりあえずオレのものにしたかった。
ずるいって分かってる。
ひどいって分かってても、このあとゆっくり
気持ちをオレに向けさせればいいと思ってた。
たった数時間のチャンスを無駄にできなかった。
本当にゴメンな」
え?
「ヒロ?ナオ?」
ドアの外でお兄ちゃんがドンドンと
ドアを叩いている音が遠くで聞こえる。