ハートのクイーン-5
「付き合わない。
付き合うはずがない。
お兄ちゃん、出てってよ!」
布団をかぶり直して
涙が出ないようにギュッと目をつぶった。
そんなあたしに
バタン!
ドスドス!
と、それこそ漫画のような効果音が聞こえてきて
いきなりあたしの部屋のドアが開く音がする。
「ナオ!!!」
怒りを含んだその声が
あたしの心臓を貫いた。
あたしに・・・執着しないで欲しい。
あたしより綺麗な人は大学にたくさんいるはずだし
その人たちはエッチだって慣れてるはず。
なんであたしに構うの?
ほっといて。
あたしは・・・
「恋愛」がしたいの。
デートがしたいの。
ドキドキしたい。
好きだって言われたい。
ヒロくんとじゃ、それは無理だって
わかったから。
もっと遊び慣れた女の人と遊んでよ・・・