「友情と恋愛」-2
「ブルブルブルブル」
テーブルに擦るように定期的に鳴り続けている。
基本的には、知らない番号はでないことにしている。
一度だけなら間違い電話だろうと思うとこだが、何度もかかってくる。
仕方なく新しく吸い始めるためにライターの火をつけ口にしていないままの状態で、電話に出ることにした。
「もしもし・・・誰ですか?・・・」
「おぉ!俺俺!誰かわからん?」
やけに明るい声だ。しかもよくナンパとかでも言う言い回しのような手口だと疑い半分で
相手の言葉を聴くことにした。
「もぉ〜!俺○○の彼氏やってぇ」
どうも、彼氏を紹介してくれた友達の彼氏らしい。
それを信じるのに時間がかかったものの、なぜアタシの番号を知っているのかが不思議だった。
「なんでアタシの番号知ってんよ?」
「へへ〜。ちょっと盗んだだけやって」
「そんなことしたらアカンやん!てか今電話してていけるん?」
「いけるって。何焦ってんよ。なんか疚しいことでもあるんか?」
「ないけどさぁ。・・・」
「わかった!俺のこと好きなんやろ?」
「そんなわけないやろ!今日初めて電話したんやし・・・」
紹介してもらって直接会うこともなかったから、何をバカなことを言うてるのかと思って
正直無駄話をするのなら今すぐ切りたかった。
それに、バイトの疲れもあり、吸いかけの煙草を吸うことの方が優先したくなった。
「くだらん話するなら切るで!」
「待って待って!今日は話することがあって電話したねんてだから頼むから切らんとって!」
「何よ?そんな言い方したらなんか気になるやんか」
「聞きたい?」
「うん。だから早く聞かせてよ」
「あぁ。そんな言い方していいんやなあ」
もうこんな言い方がたまらなく苛々するんで、知らない間に二本目の煙草に火をつけようとしていた。
「まず結論を言うと、君の彼氏は、浮気している。今も、その浮気相手と連絡と取り合っている。その相手は、子連れで年は同じで、スロットのコーヒーワゴンサービスをしている子やねん」
「・・・はぁ?・・・」
たくさん言い返したくなったが、出会った場所も納得できるので、得に言い返さず、
ただその女とどこまでの仲なのか知りたかった。
聞けば、本人が嬉そうに子持ちの女をよろしくやっちゃったことを話してきたみたいだ。
自分は、子持ちの女に負けていたのか。
その女の方が、魅力が勝っているのか。
本人に聞きたい気持ちになった。
「わざわざ電話したのは、これを黙ってていのかってことで俺は考えたわけよ。」
それを聞いて、さっきまでの自分の怒りがなんだか恥かしく思え、初めてちゃんとした言葉で「ありがとう」とお礼を言った。