うやむや-1
あんな事があったので、早坂さんと暫く連絡をとらない事にした。
お互いに何らかの誤解が生じているのは、なんとなく分かっていた。
それを解消するためには話し合いなりなんなりが必要で、
しかし、私は逃げ癖があるため、話し合いの場を自分で設ける気にはなれず、
「こうやって、しょうちゃんとエッチして、現実逃避してるんです。」
「…。
本当に駄目な子だよね、利津子ちゃんて…」
しょうちゃんは丁寧に私の首筋にキスをしながら言った。
甘い行為をしているにも関わらず、しょうちゃんは明らかに呆れているようだった。
「利津子ちゃん」
「なに?」
「…このまま俺と付き合っちゃうっていうのはどうでしょう」
「…しょうちゃん、交代。
舐めたげるから。」
私はやおら起き上がり、しょうちゃんを寝かせ、施した。
しょうちゃんは寂しそうな顔をしながら、施されていた。
お前が気づかないだけで、傷ついている人間が沢山いる、と早坂さんは言った。
私は気付いていない訳では、ない。
ただ、傷付けないために、あれこれ考えるのも、
傷つけている自分を認めてくよくよ考えるのも、
私は面倒くさくてしたくないだけなのだ。
私は、目の前のしょうちゃんが、ずたずたに傷付いてるのに気付かない振りをして、
しょうちゃんのあちこちを良くしていった。