加害者-1
子供の頃から、私は泣き虫だった。
ケンカをしては泣き、宿題を忘れては泣き、人に責め立てられては泣いた。
小学生の頃、泣くとクラスの女の子たちは集まってきて、
どうしたの?誰に泣かされたの?と言いながら心配そうな顔をした。
私はある日、隣の席の女の子に本を借りていた。
私は物を扱うのが昔から雑で、借りた本を汚してしまった。
返したとき、その子は、
「こんな風にされるなら貸さなきゃよかった。」
と少し怒った風に言った。至極当然の反応だった。
私はあてつけのように、声を出して泣いた。
泣き声を聞き付け、クラスの子たちが集まってくる。
私が、その子に泣かされたんだと言うと、女の子たちは一斉に何も悪くないその子を非難の目で見た。
泣けば、私は悪くなくなる。
非難の目を向けられたその子は、口を固く結び、私をただ見ていた。