赤い眼-7
「そうだね……嘘がバレるからかな?」
「……そうなの?」
頭領の答えにカリオペは目を丸くして驚いた。
「……もし、カリオペに大事な……私達家族を捨てても良いぐらいに大事な人が出来たら分かるよ」
「ふぅん」
いまいち分からないが、カリオペはそれで納得する。
「でも、そうしたらその人殺すかもね?」
冗談っぽく言って笑った頭領の目は冷めた色をしていた。
「かも、じゃなくて殺すでしょ?パパはカリオペが好きだもんねぇ?」
「分かってるなら良いよ」
シグナーを……家族を裏切る事は許さない。
カリオペはこの鎖が嫌いでは無かった。
再び……あの少年を見るまでは。
(うわっアイツだ!!)
ターゲットの下調べを街中でしていたカリオペは先日、エクスタシーを横取りをした少年を見つけて嫌な顔になる。
今回のターゲットは女性……ここら辺の娼館を牛耳っている人物で、依頼主はそこのナンバー2の女性。
どうやらトップの座を狙っているらしい。
そんな事より、カリオペはその少年が気になって仕方なかった。
運良くターゲットと一緒に居たので後をつけて行く。
(……ちゃんとした格好したら可愛いなぁ)
前回は風呂上がりでガウンを着ていただけだったが、今回はキチンとした服装に髪型も綺麗に整えられている。
女主人に付き添う可愛らしい男の子は目を惹くらしく、あちこちの娼館の窓から娼婦達が熱い視線を送っていた。
女主人も誇らしげに見せびらかすように街を練り歩く。
(……なんかイケ好かない〜…)
カリオペはぷっと頬を膨らませて女主人を睨んだ。
そのカリオペの勘は当たっていた……女主人は超ドSの女王様だったのだ。
「ちゃんとお舐めっ!!」
ビシッ
「っ」
夜の営みは見ていて吐き気がする光景だった。
卑猥な下着を着た女主人は大股を開いていて、そこに全裸で首輪だけをした少年がしゃぶりついている。
ちゃんと奉仕をしているのに何かにつけて鞭が振り下ろされる。
少年の白い肌には赤いミミズ腫れがあちこち出来ていて、見るも無惨だ。
首輪についている鎖を引けばギュッと輪が締まり、その度に少年は息を詰まらせて咳き込む。
しかし、少年はその間一度も声を上げなかった。
命令され虐げられ道具の様に扱われても、無表情の目の奥には蒼い炎が燃えている。
黙々と命令通りに動いているくせに何かを諦めて無いそれはいったい何だろう?
カリオペは営みを覗きながら首を捻った。