赤い眼-14
「俺に触っても生きてる」
「?当たり前じゃん?」
何を言っているのか、とカリオペは怪訝な顔になった。
「うん……そうだな……なぁ……もうちょっとこのままで良いか?」
少年はカリオペのふわふわの髪に顔を埋める。
「べ、別に良いけどぉ」
(良いけど……)
少年の手が背中を往復する度にゾクゾクするし、少年の顔が擦り擦りするのがくすぐったい。
(気持ち良〜い)
セックス前の愛撫とかは無駄だと思っていたが、なんと心地よく落ち着く行為だろう……と、考えていたカリオペはぶわっと赤くなった。
(セ、セックス前って……違うからぁっ)
自分の考えに恥ずかしくなったカリオペは内心激しくツッコミつつ少年の胸に顔を埋める。
「お?発情した?」
「ぅえ?!」
少年がクスクス笑ってカリオペを益々強く抱いたので、図星を指されたカリオペは再びパニクった。
「肉体改造の賜物〜俺って嗅覚も鋭いんだな」
汗とかの匂いに混じって微かに甘い香りがする、と言って少年はクンクンとカリオペの耳元を嗅ぐ。
「んにゃっ?!ちょっ?!」
「ははっ冗談だよ」
少年は名残惜しそうに、もう一度匂いを嗅いでから、腕の力を抜いてカリオペを解放した。
「んもぅっ」
少し寂しく思いながらカリオペは身体を起こして髪を整える。
少年も腕を身体の後ろに付いて起きると、カリオペをじっと見た。
「何ぃ?」
カリオペが首を傾げると、少年は手を伸ばしてカリオペの髪を掴む。
そして、引き寄せるように顔を寄せて……。
「やーー!ダメダメダメっ!!」
唇が触れそうになった瞬間、我に返ったカリオペが叫んで少年の口を両手で塞いだ。
「むぐっ」
少年は嫌な顔をしたが、当たり前かと素直に身体を離す。
「悪ぃ」
会ったばかりなのに無性に抱きたくなった、と少年は自嘲気味に笑った。
「いや、あの……嫌じゃなくてぇ……」
「は??」
「……その……」
(キスしたら……嘘がバレちゃぅ〜)
それこそ嘘かもしれないが、した事がないので本当かもしれないし……カリオペは両手で頬を包んで少年を見上げる。