女の手紙 その2-2
それは、わたしに対するあなたの(愛情のかけら)なのかしら?
それとも(憎しみ)なのでしょうか・・
さて、わたしが身を崩したお話しをしなければなりません。
どうしてそうなったのかをあなたはとても知りたいはずです。
一時でも、或る瞬間でも愛し合った夫婦ですもの。
あのころは性に無知で、世間知らずなわたしでしたが・・・
でも、今のわたしはあなたからは想像も付かない女になってしまいました。
しかも、それは皮肉なことに、
あなたから逃げて、共に生きている大好きな彼はそのことを知りません。
私が彼以外の男性達に抱かれているなどとは想像もできないでしょう。
ことの始まりは、私達の生活の足しにと思ってしたことでしたが、
今は取り返しの付かないことになっているのです。
とは言っても、彼はわたしがそんな女になっていることを知りません。
彼にだけは、そんなわたしを知って欲しくないからです。
始めの頃のように、激しくわたしを求めた彼も馴れたのでしょう。
前ほどわたしを抱かなくなりました。
かえってそれが好都合でした。
こんなに感じやすく、淫乱で淫らな女になったわたしを知れば驚くでしょう。
激しく嫉妬することでしょう。
でも優しい彼は、恐らくはわたしを責めないかもしれません。
そうなった彼自身の不甲斐なさを感じ、
深い後悔に苛まれるに違い有りません。
間違えば、死をも覚悟するほどの純粋な彼の心が私は怖ろしいのです。
そんな彼を見たくないから、でも失いたくないのです。
ですが、そんなわたしのことを告白せずにはいられないのです。
毎夜のように、違う男性に抱かれて乱れるわたしは狂いそうです。
誰かに告白しなければ、わたしは死んでしまいそうなのです。
人の心に善と悪の心があるのならば、
そのバランスを保つことで人は生きられるのですから。