サプリメント-2
「利津子、愛してる。」
早坂さんは、達する時に、たまにそんな事を言う。
私は達する時に声を上げないので、こくこく頷いてそれに応える。
その時、私は全て満たされた錯覚をする。
この人さえいれば、私は幸せなんだ、と。
「…なんか、巧くなってない?誰かに仕込まれた?」
数分後に腕枕しながら、早坂さんはそんな事を言う。
錯覚だったということを、私はそこではっきりと自覚する。
「してないよ。好きなの晃佑さんだけだよ。」
私は嘘をついていない。本当に好きなのは早坂さんだけだった。
「はいはい、分かった分かった。」
早坂さんは明らかに分かっていない様子で答える。
胸がぎゅうっと狭くなる感覚がする。頭でいろんな事を感じているはずなのに、人間の体は、関係のないところで反応が起きる。
鼓動が早くなったり、汗がでたり、涙が出たり
全ては脳で無機質に処理された、ただの情報であるはずなのに。
私の体のあちこちで、色んな反応が出ていたけれど、私はただ、困ったような顔をして笑っただけだった。