ある一日-8
教授とか立場が上とか関係ない。これは強気な態度で文句を言わないといけない。
「もう……冗談に決まっているでしょ〜。彼方ちゃんは、そんなことも分からないの?」
「あなたが言うと冗談に聞こえないんですよ!」
この人は、面白そうなことならどんなことでもする人だから、普通の人間には無理だと思っても、この人には出来る。
不可能を可能にするタイプの人間だから。だから油断が出来ないのだ。
「さて、本当は彼方くんに色々と教えてあげたいことがあったのだが……」
「こんな時間までセックスをするなんて、ビックリだわ〜♪」
「こんな時間……?」
そんなに長い時間が経っているのだろうか? 体力的にはかなり疲れているけど、長時間経っているイメージがない。
「ふむ、もう夕食の時間だ」
「え゛……っ」
撫子とセックスを始めたのが、昼頃だったか。それを考えると、六時間程していたことになるか。
そんなに時間が経っていれば疲れるのも当然だよな。欠片も疲れていない撫子は異常だが。
「彼方くんの勉強は明日でも構わないだろ」
「とか言いながら、実は九条ちゃんも疲れているだけじゃないの〜?」
「む……っ、何を言うんだ。私があの程度で疲れるわけがないだろ」
「ふふっ♪ そういうことにしておこうかしら〜♪」
楽しそうに会話をしている教授とオッサン。
前々から思っていたけど、この二人かなり仲がいいよな。それこそ恋人同士のような……
いや、だけどあのオッサンにはちゃんとした妻が。
「ダメよ彼方ちゃん。世の中には知らない方がいいこともあるのよ〜♪」
「……」
ニッコリと微笑んでいる教授。しかし、その笑みを見た瞬間、ゾクリと悪寒が走った。
これ以上、そのことに触れてはいけない。そんなことを本能的に悟ってしまった。
間違いなく、忘れた方がいい。これはそういう類の話なのだ。
「大丈夫ですか? 彼方さん」
「あ、あぁ……」
「そうですか。ところで彼方さんは、いつまで裸で居るんですか? わたくしとしては、そっちの方が嬉しいですけどね」
「な――っ!?」
気がついたら撫子は服を着ていた。
俺と同じように全裸のはずだったのに、いつの間に着替えたのだろうか?
いや、そもそも着替えるような時間はなかったはずなんだが……
「何をしているんだい彼方くん。早くしないと食事が冷めてしまうだろ」
「えっ!? もうご飯、出来ているんですか!?」
「当たり前だろ。メイド達が時間通りに作っているからな」
「……さすが九条家」
「ふ……っ。金持ちのちょっとした嗜みという奴だよ」
はははは、と豪快な笑みを漏らすオッサン。
最初から分かっていたけど、やっぱり九条家は凄い。色々な意味で。
「それじゃ行こうか」
「あ、はい」
今日はセックスしかしていない気がするが、これが俺の九条家での生活だ。
九条家や金持ちなどの生活を知り、オッサンの所で仕事を学んでいく。
そして空いた時間で撫子と過ごし、精子を搾り取られていく。
それが、今の俺の生活スタイルだったりする。
今日みたいに、セックス三昧なのは偶然なのである。たぶん……
「あ、あれ……? 何で、またチンコが――」
「HAHAHAHA! 実は夕食にも精力剤を仕込んでおいたのさ!」
「何でだよ!」
「そっちの方が面白そうだからさ!」
ムカつく程いい笑顔を浮かべているオッサン。
「あらあら、また鑑賞しないといけないわね〜♪」
同じようにいい笑顔を浮かべている教授。あんたは何時までここに居るつもりなんだよ!
「このままでは、彼方さんにオマンコを壊されてしまいますわ♪」
「誰も俺の心配はしてくれないのな……」
さっきのセックスで終わりだと思っていたのに。それなのに――
どうやら今日の俺に平穏は訪れないようだ。まだまだ撫子に精子を搾り取られてしまう。
九条家という大きな家の婿になったのに、していることは基本セックスのような気がする。
……これは気のせいだということにしておこう。そうしないと、泣きたくなってくる。
「ほんと、どうしてこうなったんだろうな?」
「それは君が娘に手を出したからだろ?」
「そうよ。彼方ちゃんの手とアソコが早かっただけなのよっ♪」
「彼方さんが無理やり、わたくしの初めてを奪ったからです……っ♪」
後半になるにつれて、捏造が酷くなってきている。
間違っていないけど、間違っている。そんな感じだ。