ずっとそばに-1
灰色のスーツに身を包んだ、少し青白い肌の彼。
いつも小脇に分厚い辞書を抱き抱え、『あぁ勉強熱心なんだなぁ』なんて思わせる。
日焼けが嫌なのか、年中黒い傘を差している。
傘が黒いおかけで彼の周りは日陰になっていて、少し黒っぽいオーラが包み込む。
雨の日、彼の傘に入れてもらえるのはすごく助かる。
嫌な顔ひとつせず受け入れてくれるから、安心して寝ちゃう人もいるみたいだ。
そんな彼も少し前は若かった。
傘も緑、パーカーも緑の、弾けた野郎だ。
オーラも明るくて元気だったけど、その分腕の中は蒸した。
温かい腕の中に加え、直射日光はとても暑い。
でも小脇に辞書を持ってたり、雨宿りを受け入れたり、などは昔から変わっていない。
彼には、ずっと、側にいてほしい。
[公衆電話ボックス]