コスプレタイム-1
真雪19歳。専門学校に通い始めて二年目。龍15歳。高校一年生。
真雪の高校の同級生春菜はデザインの専門学校、その恋人健太郎は菓子作りの専門学校で勉強を続けている。
とある夏の日の夕方、春菜は健太郎の部屋で、彼の帰りを待ちながら本を読んでいた。
「えー、イヤだよ、俺。勘弁してよ。」
壁越しに龍の悲痛な叫び声が聞こえた。春菜は思わず立ち上がり、部屋を出て、隣の真雪の部屋のドアを恐る恐るノックした。
「どうしたの?龍くん。」
「あっ!春菜さんっ!助けてっ!」中で龍が叫び、どたどたと駆け寄り、ドアを開けた。「春菜さん!何とかして!」
「ど、どうしたの?」
「真雪が俺をおもちゃにしたがるんだ。」
「おもちゃ?」
「うん。」龍は泣きそうな顔で春菜を見た。
「入ってもいい?」
春菜は真雪の部屋に入ってドアを閉めた。「な、なによ、これ?」春菜は中を見るなりびっくりして大声を出した。
真雪の部屋の床には色とりどりの衣服が大量に散乱していた。
「あ、春菜、丁度いいところに。今呼びに行こうと思ってたところなんだ。」メイド服姿の真雪はにこにこしながら春菜を歓迎した。「手伝って。」
「ちょ、ちょっと、なに?真雪、メイド服なんか着ちゃって・・・。それに何を手伝えって?」
「聞いてよ、春菜さん。」龍が床に正座して困った顔で春菜を見つめた。「俺にこの服着せて、写真に撮るって言ってるんだ、真雪。」
「どの服?」
「これとか、」龍は真っ赤なブルマを手に取った。「これとか、」白いフリルのついたエプロンを持ち上げた。「これなんか。」金色メタリックのレオタード。
「ひどいと思わない?」
春菜の瞳が輝き始めた。「いいねいいね、真雪、最高の企画じゃない。」
「えええっ?!」龍は飛び上がった。
「でしょー。」真雪は自信たっぷりな笑顔で言った。「やっぱり春菜なら理解してくれると思ってたよ。」
どたたたた!龍がドアに向かって駆け出した。すかさず春菜が彼の腕をがしっと掴んだ。その拍子に龍は床の超ミニスカートに足を取られて派手にすっころんだ。
「逃がさないわよ、龍くん。ふっふっふ・・・。」
「こっ、こっ、怖いですぅ、春菜さんー。」したたかに床に打ち付けた腰をさすりながら、龍は目に涙を滲ませていた。
「観念しなさい。お姉様たちに逆らうと、後が怖いわよ。」
「すっ、すでに怖いんですけど・・・・。」