ダイヤのクイーン-4
「う・・ん。そんなようなもん・・・」
あたしはヒロくんのその言葉を聞いた途端に走り出していた。
そんなようなもん・・・って?
そんなようなもんって何?
妹にあんなことしたの?
妹のように思ってるあたしにあんなことしたの?
バカみたいじゃん!
あたしバカみたい!
ヒロくんはちょっと大きくなった女子高生のあたしをからかっただけなんだ。
「妹に手を出すな!バカヤロウ!!!」
あたしは流れる涙を拭う暇もないほど
一心不乱に走って家に帰った。
バイブにしていた携帯は
震えては止まり震えては止まりを
繰り返していた。
画面を見ると
そこにはまだ未登録だから
名前ではなく電話番号が映し出されていた。
こんなふうにヒロくんの電話番号を知りたくなかったな。
あたしは静かに携帯の電源を落とした。