沙織と土橋修-2
次の日、修は顔腫らして学校に来たの。そんな顔だから他の友達に色々聞かれてたんだけど、“整形した”とかバカなことばかり言うだけで、あたしのせいであんな目にあったのにそれを全然言わないんだよ。
あたしは修に悪くて何度も謝ろうとしたんだけど、修は“昨日謝ってくれただろ”って笑って、あとは何事もなかったように冗談言って笑わせてくれたりして、逆に気を遣ってくれたの。
そのことがあってから、あたしは修のことを考える時間が多くなって、いつの間にか修のことが好きになってた。
ずっと告白しようって思ってたんだけど、なかなか勇気が出なくて……、一年生の終わりにやっと告白したの」
私は、沙織の話に相槌を打つのを忘れ、すっかり話に聞き入った。
沙織は、しゃべり過ぎて喉が渇いたのか残り少ないアイスティーを一気にズズズッと吸い上げてから、さらに続ける。
「でも、修は“このまま友達でいたい”ってはっきり断った。あたしね、密かに付き合える自信あったから、すごくショックでさあ。春休みの間まともにご飯も食べられなかったよ。何より、学校が始まったらどんな顔して修と会えばいいんだろうってそればかり考えてた。
二年生になって修とクラスが離れて少しホッとしたけど、しばらくは修と顔合わせる勇気が出なくて避けてたんだ。
でも学校で修の姿を見かけるたび、話できない方が辛いって気付いて、ある日思い切って話しかけてみたの。最初、修はびっくりしてたけど、すぐに以前のように接してくれて。
あとから聞いたんだけど、何度もあたしに話しかけようとしてくれたみたいなんだ。でも、自分から話しかけるのも無神経な気がして、何もできなかったんだって。
でも、また普通に話できるようになって、やっぱり友達のままでよかったって思えるようになってきたの」
そこまで話し終えた沙織は、フフフと照れ臭そうに笑っていた。