隠し事-3
「……お前、シグナーのカリオペだろ?」
スランの言葉にカリーは更に身体を固くする。
「暗殺集団、シグナーのエリート『赤眼のカリオペ』暗殺者ん中じゃあ有名人だからなぁ……それが脱走したって?『脱色』までして一緒に居たい相手か?あのチビは」
何もかもバレてるのか、とカリーは身体の力を抜いて自分の死を覚悟した。
「……っそこまで分かってんなら……さっさと殺してよ……いくらか知らないけど賞金出てんでしょ?」
脱走した暗殺者の首には多額の賞金がかかる。
だからこそ『脱色』なんてキツイ薬を飲んで髪から肌の色まで色を抜いているのだ。
本当のカリーは黒髪に浅黒い肌の色をしている。
「賞金に興味は無ぇよ?そこまでしてあのチビと一緒に居るお前に興味があんの」
スランは笑いながらカリーの髪を梳いて、その髪をちょっと握った。
「は?」
くいっと後ろに引かれて顔が上がる。
至近距離にスランのドアップが迫り、端正な顔に思わずドキンとしてしまった。
「『脱色』じゃ目の色は変わんねぇよな?コンタクトか?」
スランはまじまじとカリーの目を覗き込む。
(何なの?!コイツ?)
賞金首を目の前に殺す訳でも無く、興味深げに色々聞いてくるスランにカリーは戸惑った。
そのユラユラ揺れる潤んだ目を見ていたスランは、視線をカリーの唇に移す。
半開きの口から荒い呼吸が漏れているのが何ともエロくてスランの腰がズクンと疼いた。
「……前言撤回……」
落ち着くまで何もしない、と言ったが我慢出来ない。
スランは親指でカリーの唇をなぞり、自分の唇を近づけた。
「?!」
何をされるか直ぐに分かったカリーだったがガッチリ腕の中に収まっているので逃げられない。
「今度は噛むなよ?」
スランは笑った口でカリーと唇を重ねる。
「!!ん゛ーー!!」
目を見開いて喉の奥で唸るカリーを無視して、スランは喰むように唇を玩んだ。
(やだやだやだぁっ)
口付けは絶対に好きな相手としかしたく無いのに、何でこの男に2回も奪われなくてはならないのか……何より悔しいのはスランのキスが巧みで頭がクラクラしてしまう事。
「んうっんはぁっやぁっんあんんっ」
嫌がって顔を反らすカリーを追いかけて貪るように口を犯していくスラン。
背中を撫で回す彼の手が官能的に動いて、カリーはゾクゾクする。
その時、カリーの耳にゼインの足音が聞こえ、スランもそれに気づいてチッと舌打ちしてカリーを離した。