隠し事-10
「……演技は止めろ」
「何処で見られてるか分かんないじゃない?ドア閉めてくれる?」
にこやかにカリーに言われたスランは言われた通りドアを閉める。
「はい。演技終わり。さっさとヤッてよ」
ドアを閉めた途端にカリーの顔から表情が消えてしまい、スランは面白くない。
「ムードねぇなぁ」
スランは部屋の真ん中にあるテーブルの上に置いてあった大きな袋を手に取ってカリーに投げた。
「何これ?」
袋を受け取ったカリーはスランを見て首を傾げる。
「服。着替えてこい」
「服ぅ?」
「いいから」
スランはカリーの背中に手を回して洗面所に押し込んだ。
「髪は下ろして、コンタクトは外せよ?後、武装解除だからな」
何だか色々と注文をつけてスランはドアを閉める。
カリーは首を傾げつつもスランに言われた通り、着替える事にした。
「……なあんか落ち着かないぃ〜」
洗面所から出たカリーを見たスランは口笛を吹いて出迎える。
「似合ってるぞ?」
スランが用意した服は柔らかく薄い素材で出来た赤いワンピースドレス。
肩紐はチェーンで出来ていて、動く度にキラキラ光る。
スカートの丈は前部分は太股ぐらいの長さだが、後ろにいくにしたがって長くなっており膝下ぐらいまでになっていた。
フンワリとした裾が可愛いらしく、大きく開いた胸の色っぽさを際立たせている。
くるくるパーマの薄い金髪と白い肌は『脱色』による偽物だが、目は赤茶色でなくガーネットの様な綺麗な赤色。
カリーが『赤眼のカリオペ』と呼ばれていた印だ。
「はい。そこでターンして」
「何でそんな事しなきゃいけないのよぅ」
文句を言いつつも言われた通りにターンするカリー。
「お前な、武装解除って言ったろ?」
ターンした事でスカートが捲れあがり、太股のガーターに挟んであったダガーが見えた。
「ちっ」
カリーは舌打ちして視線を反らす。
スランはカリー達に手を出さない事になったが、カリーは手を出して良い……隙あらば、と思っていたがスランの目は誤魔化せないようだ。
「ったく、油断出来ねぇなあ」
スランはソファーから立ち上がるとカリーの前にしゃがんでスカートを捲る。
「いやんっ」
「わざとらしいわ」
可愛いらしい悲鳴をあげたカリーにスランはツッコミを入れ、スカートの中に手を入れた。
カチャンカチャン カラーン
次々落ちてくるダガーや鈎針を拾ったスランは片眉を上げてカリーを見る。
カリーはちらっとスランと視線を合わせた後、ぺろっと舌を出した。