ハートのジャック2-13
ヒロくんは・・・
足に力が入らなくて
座り込んでいるあたしの髪をなでて
おでこにやさしいキスをした。
「痴漢にこんなふうにされたくなかったら
スカート、もう少し長くしろよ?」
そう言うとあたしの部屋を出て
階段の下でお母さんに挨拶をするヒロくんの声が聞こえた。
「マサの本、借りていきますね。
おじゃましました」
パタンとしまった玄関のドアの音を聞いたあとも
あたしは立ち上がることができなかった。