愛欲の罠-7
久保田の目が変わる。
男の本能に目覚めたような、野獣の目。
マヤを押し倒し、力強く足を広げさせる。
「先生……ごめん……!」
女陰に固く屹立したものが押し当てられた。
ぐっと腰を引き寄せられ、体重がかかる。
あまりに急な動きに、一瞬恐怖さえ感じてしまう。
肉傘が膣襞を割り、ぐいぐいと奥まで侵入してくる。
「あ、あぁっ……!」
「せんせ……すご……い……締めつけてくる……」
それは子宮の入り口まで届きそうなほどの位置まで到達し、なおもマヤを突き上げる。
蜜壺の中をこれでもかというほど掻きまわす。
熱い。
息ができない。
走り抜ける快感に、このまま死んでしまってもいいとまで思う。
腰が揺れるたびに、肉杭が打ち付けられる。
何かの罰を受けているような気持ちになる。
だとしたら、なんと幸せな罰だろう。
「好き……です……心から……」
一番深いところまで貫いた状態で、思い切り抱きしめられた。
「あぅ……わ……わたし、も……」
その背中に爪を立てる。
自分の言葉が嘘なのか本当なのかわからなくなる。
「春に、卒業したら……僕と、結婚……してくれますか……」
快楽に朦朧とした意識の中で、久保田の言葉が心地良く耳に流れ込む。
有り得ないことはわかっている。
それでも、いまだけは欲望に忠実な返事をしたい。
「いい……いいわ……」
「絶対に、幸せにします……先生……!」
再び腰が激しく動き出す。
肉を打つ音。お互いの愛蜜が蕩け合う音。
肉襞を擦りあげられるうちに汗が噴き出してくる。
ふたりで築く穏やかで幸せな未来。
叶うはずのない予想図。
また涙が流れて落ちる。
「先生……っ……!」
抱きしめる力が強くなる。
体内に精の塊が放出されたのがわかった。
それはまだ固さを保ち、どくん、どくん、と脈打っている。
自分の腕の中で欲望を満たした久保田に対し、愛しさに似たものを感じた。
いけない。
一時の気持ちに溺れるわけにはいかない。
繋がったまま、体の上にいる男に対して冷静な心情を取り戻す。
あれほどの快感が嘘のように引いていく。
まだ呼吸の荒い久保田に耳を寄せて、マヤはとっておきの甘い声で囁いた。
「ねえ……お願いがあるのよ」
(つづく)