ハートのジャック-1
高校も3年の夏前になると、本格的な進路調査が始まった。
学校側が聞きたいことは大きく分けて2つ。
このまま付属の大学に進学するのか
外部受験をするのか・・・
あたしは別にやりたいこともなかったし
勉強が好きってわけでもないから
このまま付属の大学に行こうと思ってる。
でも進路調査票を渡されて
「はぁ・・・」と
大きくため息をついた放課後。
部活は引退したし
友達のあずさはなんだか急いで帰っちゃったし。
あたしも一人で寄り道する気にもならなくて
そのまま家に帰った。
家の玄関にはお兄ちゃんの靴の他に
同じぐらいの大きな靴。
「ヒロくん、また来てるんだ」
そこにもため息が出た。