執事なんです。私-4
「さて、では帰りますね」
「…あぁ、うん」
「…どうしました?蓮さん」
少し寂しそうな顔をする連さん。彼の顔を覗き込むと、いきなり抱きしめられた。
そして私の頬に手を添える。
「…あ、あの…?」
「しー。黙って目を瞑るんだ」
言われたとおりに目を瞑ると、唇にキスをされた。
触れるだけの軽いキス。男性にキスをされるのは初めてだった。
驚く私に微笑むと、彼は手振って家に戻っていった。
「じゃ、また明日」
「あ…はい。また明日」
初めてのキスに、まだ胸の高鳴りは収まらないでいた。
頭がボーっとする。風邪を引いているわけでもないのに不思議な気分だった。