執事なんです。私-2
「それにしてもお嬢様ってみんな丁寧なしゃべり方すると思ってたんだが…」
ソファに腰掛け、不思議そうに真菜様を見ながら彼が言う。
「どっちかというと瑠奈のほうがお嬢様っぽいってよく言われるよ」
「そうなのか。へぇ〜」
「…ところで…えと」
「あ俺、蓮。天野 蓮だよ。よろしく〜」
「蓮さんは、どうして瑠奈と付き合うことになったんですか?」
「そうだなぁ…捨て猫のおかげかな」
「捨て猫?」
どういうこと?という顔をするお嬢様。秘密。と彼は笑った。
「む…じゃあ瑠奈に聞こう…」
「ですから、捨て猫のおかげです」
「う〜…瑠奈のけち」
「じゃあ逆に聞くけど…真菜ちゃんは彼氏とかいたりするのかい?」
悪戯っぽく笑いながら彼が尋ねる。すると彼女は顔を真っ赤にしながら否定した。
「べ、別に…いないもん…」
「ひどいなぁ〜…真菜ちゃん、俺とはお遊びだったの〜?」
そういいながら彼女に抱きつく青年。
どこからともなく現れた彼は、お嬢様の彼氏。まさに神出鬼没である。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!ば、馬鹿!」
「よっ、お邪魔してますよ〜」
「麗音さん…入るならせめて一言言ってください…」
麗音と言う名前を聞いた瞬間、彼は驚いた顔をした。
麗音さんも同じような顔をしていた。
「え?蓮兄?」
「おぉ…やっぱり麗音か!大きくなったなぁ〜!」
わしゃわしゃと麗音さんの頭をかき回す。久々に再会した兄弟のようだった。
知り合いなのかと聞いてみると、彼はこう答えた。
「従兄弟だよ、ここ何年もあってなかったからなぁ…」
「蓮兄…頭ぼさぼさになったんだけど…」
「悪い悪い、つい嬉しくて」
嬉しそうに笑う蓮さん。従兄弟と聞いて、彼の性格がなんとなく麗音さんに似ているのも納得した。
「てか、なんで蓮兄がここに?」
「最近引っ越して来たんだよ。んで、瑠奈ちゃんと運命的な出会いをしたというわけである」
「まさか、付き合ってんの?」
「その通り」
ストレートに言われて恥ずかしくなり俯く。
「ところで蓮兄」
「ん?」
こそこそと麗音さんが彼の耳元で何かを囁く。すると彼は顔を真っ赤にして首を振った。何を話しているのだろうか?
「ほ、本人が居る前で聞くか…?普通」
「へぇ、まだなんだ〜へぇ〜」
「そういうお前はどうなんだよ」
「さぁ?真菜ちゃんに聞いてみたら〜?」
「俺が聞いたらセクハラになるだろうが!」
とりあえず、聞かなくてもいいことだと言うことは分かった。
鈍感なお嬢様は首をかしげていたが。