烏合の衆-5
「大丈夫ですよ。型破りなのは元からですし、バリーはこの中の誰よりも視野が広いし現場経験も有りますから」
「いや、だけどな……」
「よっしゃ!新しい隊長の誕生だ!祝い酒祝い酒!」
「だから、俺の話を……」
「バリー隊長!宜しくっス!」
新しい隊長を囲んだメンバー達は次々に挨拶を初め、バリーは口が挟めずにぱくぱくするだけ。
アースはそれを見ながら喉の奥でクツクツ笑った。
「さっすがぁ」
お調子者の乗せ方が上手い、とアースはサクを褒める。
「適材適所でしょう?私だって今更他の隊に配属されるのは嫌ですからね」
サクは立ち上がってアースと肩を並べ、チラリとアースを見た。
隊長というのはアースのようにチームを引っ張っていくものだと思っていた。
自分はアースのようにはなれないから無理だと思っていたが……。
「?」
アースが視線を感じてサクに目を向ける。
「私が何でアース隊に居るのか分かりました」
チームが全力を出せるようにサポートする人間が居なくてはこのチームは崩壊する。
アースみたいのが2人も居たら騎士団自体が崩壊だ。
自分のような常識人が絶対に必要なのだ。
「今頃気づいたか」
ケケケ、と笑うアースにサクは苦笑してからメンバー達に視線を移す。
「アース隊は良いチームですよね」
「もう、バリー隊だがな……あ〜あ、隊長職は楽しかったのになぁ」
何か仲間外れにされた感じになり、アースは少し寂しくなる。
「どうせ首突っ込んでくるんでしょう?」
安易に予想出来てサクは嫌な顔になった。
「へっへ〜、そん時は尻拭い頼むな」
アースは頭の後ろで腕を組んでサクに頼む。
「嫌ですよ」
サクに即答されたアースはニヤリと笑った。
「んな事言ったらリンと浮気してた事嫁さんにバラすかんな」
「なぁ?!」
大分前の過ちを持ち出されたサクは一気に青くなる。
「リンと不倫ねぇ……勇気あるよなぁ〜やっぱお前、普通じゃねぇよ」
「いや、あの、え?!」
何で知ってるんだ、という事と今にも言いふらしそうなアースをどうやって黙らせようか、という事がサクの頭の中を巡る。