和解-7
◇ ◇ ◇
「仲直りしたの!?」
沙織がびっくりした顔で私を見つめる。
「いや、仲直りって言うほど親しくないでしょ」
「そうかもしれないけど、とにかくよかったね!」
沙織はホッとしたのか、ポテトをパクパク食べ始めた。
私は、今日の昼休みの出来事を話し終えると、時間が経って少しシナシナになったポテトを一つ口に入れた。
―――放課後、冗談のつもりだった“マックおごって”発言は、沙織が半ば強引に実行に踏み切った。
沙織の性格上、どんなに遠慮してもおごると言い張るだろうから、私は一番安いセットをお願いした。
すると、沙織は勝手に私のいつも食べるセットに替えて持ってきた。
沙織は、変な所でやけに気の利く子なのだ。
「でも、まだ顔合わせるのが嫌な人もいるんだけどね」
「ああ……、大山くんね」
私は大山倫平の意地の悪い顔を思い出すと苦々しくなった。
幸い奴は今日は学校を欠席したらしく、顔を合わせずに済んだけど。
沙織はアイスティーを一口飲んで言った。
「あたしね、昨日修や桃子が帰ったあと、大山くんにめちゃくちゃ怒ったよ。桃子に対して失礼過ぎだったでしょ。あまりにもムカついたから、あたしもすぐに帰ったし」
「そうなの!?」
大山倫平が学校を休んだのは、沙織を怒らせたからかもしれない。
だからといって、それを気の毒とは思わずにむしろざまみろと思う自分は本当に性格が悪い。
「でもさ、このまま大山くんを避けるってことになると、修と友達で居づらくなっちゃうかなあ……って考えちゃうんだよね。あたし、修とは友達でいたいからなあ」
「……ねえ、土橋くんって沙織が友達でいたいほどいい人なの?」
私は目を丸くして沙織を見た。
「うん、すごくいい奴だよ。だから、昨日の桃子の話が、あたしは信じらんないんだよね。あの修がヤリ捨てって……」
沙織はそう言うとトンと椅子の背もたれに寄りかかって、眉間にしわを寄せて腕組みをした。
店内は私達と同じような学生や、買い物帰りの小さな子を連れた主婦、仕事の合間を縫って休憩しているサラリーマンなどで賑わっている。
そんな和やかな光景に似つかわしくない沙織の難しい顔を見ると、私はあることを確信して、彼女に訊ねてみた。
「……沙織ってさ、もしかして土橋くんのこと好きだったりする?」
私の唐突な質問に沙織は一気に顔を赤くした。