一人エッチタイム-1
「こんばんは。」
「おや、真雪。いらっしゃい。」
「おじゃましていい?ミカさん。」
「もちろん。上がりな。」
五月のとある金曜日、海棠家を訪ねた真雪はTシャツにショートパンツ姿だった。
「もうすっかり夏の装いだね、真雪。」リビングにミカがコーヒーのカップを二つ持って入ってきた。
「今日なんかすっごく暑かったよね。地球は確実に温暖化が進んでるよ。」真雪は笑いながらカップを手に取った。「いただきます。」
ミカもカップに手を掛けた。「アイスコーヒーの方が良かった?」
「ううん。あたし暑い時でもホットが好き。この香りが好きだから。」
「あたしも。」ミカは笑った。「今日は?龍と約束?」
「ううん。アポなし。」
真雪18歳、高校を出て動物飼育の勉強のために専門学校に通い始めた。
「今日はバースデーパーティのご案内。」
「そうか、ケネスは五月が誕生日だったな。」
「その二日後が春菜の誕生日なんだ。二人いっしょに祝ってあげようと思ってね。」
「へえ、いいね。うちも招待してくれんの?」
「もちろんだよ。春菜も海棠ファミリーがお気に入りだから。」真雪は笑ってコーヒーを口にした。「そうそう、ミカさん、」
「なに?」
「ここに来る前に、ちょっとだけスイミングスクールを覗いたんだけどさ、今の時間って成人クラスでしょ?」
「そうだね。でも、うちの龍と健太郎もいただろ?」
「うん。いつも二人が金曜日のこの時間のクラスにいるってこと、知ってたから覗いたんだけど、観覧席に女子高生みたいなのが異様にいっぱいいたけど、あれはいったい・・・。」
ミカはおかしそうに言った。「男どもの追っかけ。」
「え?追っかけ?」
「そ。成人クラスの前の時間が高校生クラスなんだけどね、そこに来てる生徒たちの中に、けっこうファンがいるんだよ。」
「ファン?」
「ケンジと健太郎と龍の。」
「はあ?」
「みんなイケメンでしょ、そこそこ。しかもそっくりだし。」
「そ、そうなの?」
「父親にしたいケンジ、恋人にしたい健太郎、弟にしたい龍、なんだってさ。」
「へえ。人気者なんだね、三人とも。」
「でもみんな恋人がいるってこと知ってるから、妙なことしたりはしないけどね。今んとこきゃーきゃー言って見てるだけ。」
「すごいね。」真雪も嬉しそうにコーヒーをすすった。
「龍も中三。逞しくなったしね。」ミカは真雪にウィンクをした。真雪は少し頬を赤らめた。
カップをテーブルに置いて真雪が訊いた。「ミカさん、龍ってさ、反抗期とかなかったの?」
「ちょっといらいらしたりすることはあったけど、あたしたちに反抗することは今んところないね。」
「そうなんだ。」
「あんたとつき合い始めたってことは大きいと思うよ。満ち足りてるんだよ、きっと。」
「そうかな。」真雪は照れて頭を掻いた。「じゃあさ、彼、あたしとつき合い始める前はどうだったの?」
「中一の頃の思い出っつったら、」ミカは思い出し笑いをしながら言った。「あいつ、けっこう部屋で一人エッチに耽ってたみたいだよ。」
「えっ?一人エッチ?」
「巨乳グラドルほしのあみの写真集、こっそり隠し持ってたのをあたしは知っている。」
「ほんとに?あんなにちっちゃかったのに?」真雪は当時のちびっ子龍の姿を思い描いてくすくす笑った。「身体は一人前に成長してたんだね。」
「潜在的にでかいおっぱいが好きなんだろうね。あんたもそうだし。」
「なるほどね。」
「それに、あたしのおっぱいに吸い付いたら、なかなか口を離そうとしなかったからね。」
「えっ?!ミカさんのおっぱいに?」
「赤ん坊の頃だよ。」
「なんだ、びっくりした。」