〈過去を漁る黒鉄の檻〉-7
『専務。イイ女が手に入りましたね』
『おぅ。しかもお高くとまった刑事だもんな。……五年ぶりかな?』
「!!!!」
専務と呼ばれた男の台詞を、美津紀も文乃も聞き逃さなかった……五年ぶりの刑事……まさか、あおいの事では……?
『……カホ…とか言ったっけ?ビルの中でレイプしてやったら、後で復讐しに来たっけ……あん時も貨物船の中だったなあ?』
専務はナイフを他の男に渡し、少女に向けたままでいろと告げた後、数人掛かりで押さえ付けられてる文乃の傍にいき、しゃがみ込んで顔を覗いた。
「……夏帆……じゃあやっぱり……」
あおい、夏帆、真希、芽衣……あの親しかった四姉妹の末路を、この男は知っている……。
平時でも凛々しい眼差しを持つ文乃の瞳は、恐るべき過去に触れて怒りに震え、未だ少女に向けられたナイフ以上に冷たく妖しく輝いていた。
「夏帆は?あおいはどうなったのよ…?言えよ!!」
今にも掴み掛からんばかりに足掻いたが、男数人の腕力には敵うはずもない。
いくら逮捕術に優れようが、両手を拘束されて手足を掴まれてしまっては、もはやどうにもならない。
『あ?俺はあの時はまだ下っ端だったからなぁ?取引先のエロオヤジに売り飛ばした後は知らねえよ』
こんな人身売買をする奴らに囚われてしまったら……あまりにも酷過ぎる結末に、文乃も美津紀も鬼のような形相へと変わり、男達を睨みつけた。
そして少女達は、これから待ち受ける地獄のような日々を想像し、いっそう声をあげて泣きわめいた。
『贈ったニワトリに卵を産ませようが、肉を喰っちまおうが知ったこっちゃねえ。そこまで面倒見てらんねえよなぁ?』
「!!!!」
怒り狂う二人に追い撃ちをかけるように、専務は笑いながら非情な台詞を吐いた。
女性を人間として認めず、人権すら無視し、道具のように扱っては棄てる……二人の刑事にとって、初めて殺意さえ感じさせた極悪人……文乃は歯を剥き出して怒りを露わにし、美津紀は歯ぎしりして専務の横顔を睨んだ。
と、専務はその歪んだ笑顔を美津紀へと向け、立ち上がって傍にしゃがんだ。
美津紀は狭い檻の中で身体を捩り、専務を睨んで思いの丈をぶつけた。
「アンタみたいな奴、必ず逮捕してやるから!!私が手錠掛けてブタ箱に……こ、このォ!!!」
『おぉ〜…随分と胸がデカいじゃないか?夏帆よりも実ってるぞ?』
専務は檻の中に手を伸ばし、セーラー服の中に滑らせるとキャミソール越しに豊かな肉を掴み、その弾力を楽しんだ。
美津紀は拒絶の反応を示し、必死に身体を動かして淫靡な掌から逃れようとした。
狭い檻の中では身体は殆ど動かず、好いように胸肉を揉み解されていたが、それでも悲鳴は無かった。
従姉妹を凌辱した憎き鬼畜に、弱々しい姿などどうして見せられよう?
情けない姿を晒し、涙ながらに謝罪すべきは専務と男達なのだから。