〈過去を漁る黒鉄の檻〉-13
『その気取った顔をグチャグチャにして悶えろ……遠慮する必要は無えんだからよぉ……』
いくら顔で怒りを表し、正義ぶった台詞を吐こうとも、その肉体の反応を見てしまえば説得力は皆無である……性的刺激に堕ちた肉体同様、その生意気な顔もメチャクチャにしてやりたい欲望が、部屋の支配者の総意となった……何人、いや何十人もの女性を喰い尽くした毒牙が、まるで無防備な刑事の身体に襲い掛かった。
「やッ…!!やめろぉぉッ!!!……嫌あぁぁ!!!」
悲鳴……抗う術を失い、逃げ場さえ無くした刑事は敗北の哀願を叫び、汚らしい音を股間から発し続けた……焦らしに焦らされた乳首と秘豆は、やっと訪れた“接触”に歓喜し、もっと欲しいと肥大していき、指の集団に襲われた秘穴は、すぐ下に鎮座している肛門も淋しいとばかりに、牝汁を滴らせて侵入者の来訪を待ち侘びた。
『なんだ?この眉間の皺はよぉ?』
『こんな大勢の男に弄り回されて嬉しいんだろ?あ?クソ牝?』
「は、離してッ!!やあぁぁぁ!!!」
開け放たれた両の乳首に男達が吸い付くと、文乃の身体はビクンと跳ね、秘穴は触診の為に侵入していた専務の指を強く締め付けた。
極悪な男達と闘っていたはずなのに、文乃の《敵》は今や自分自身の肉体……どうしようもなく股間が疼き、乳首も秘豆も神経を鋭敏にしていく……拉致されて、売り物にされてしまう残酷な運命に晒された少女達の前で……従姉妹を凌辱され、憤怒の感情を爆発させている美津紀の目の前で……。
「嫌あッ!!……あぁぁぁぁッ!!!」
恥辱に叫ぶ文乃の乳首を優しく舌は舐め、固く膨れた尖端を前歯で噛んでは軽い痛みを与える。
専務は手首にまで垂れた牝汁を両手に擦り付け、左手の人差し指を肛門へと潜り込ませた。
「ど、ドコに指……ッ!!やあぁぁッ!!やめてぇぇぇ!!!」
「…ッ!!!」
異性との経験はあるのだろうが、肛門は未経験なのだろう……専務の人差し指に肛門内部をまさぐられる度に、文乃は狼狽えたように身体を不自然に捩り、頭を振り乱して泣きわめいた。
その姿は、美津紀にも見た事のない弱々しい姿だった。
今までに、どんな犯罪者の集団に囲まれても狼狽える事は無かったし、絶体絶命の窮地に追い込まれても、美津紀を優しく励まし、自分の力で挽回してみせていた。
刑事として、あまり女を感じさせないでいた文乃が、初めて《女》を攻撃された時、それに対する耐性が弱小だったのだと二人は気付かされた。
あの気高い本村文乃の姿は何処にも無く、性暴力に怯えるか弱い女性でしかなくなってしまっていた。
復讐に燃えていた夏帆も、仇討ちに勇んで討ち入ったあおいも、きっとこうだったのだろうと美津紀は思い、そして自分だけは違うと唇を思いきり噛み締め、専務達を睨みつけた。
この少女達の救世主は、もう自分一人しかいないのだから……。