第三章 肛虐の宴-8
「ぜ、絶対にドアを開けないでください! お願いします!」
切にそう願い、美優はヨロヨロと便器へ向かった。
背後に恐怖を抱きつつも、ゆっくりと和式の便器をまたいでしゃがみ込む。
と、その瞬間、
ガチャ―――
不安が的中し、大村はやはりドアを開けてきた。
「嫌ッ、出て行って! お願いだから閉めてください!」
美優は片手で顔を覆い隠したまま激しく叫んだ。
立ち上がろうにも、膨らみきった排泄欲を前にそれはもう無理なことだった。
「なに寝ぼけたことを言ってるの? せっかく奥さんが排便するんだ、これを見ないでどうするね?」
ニヤニヤと笑っている大村の手には、小さなビデオカメラが握られていた。
到底、後ろなど振り向けないでいる美優はそんな事など気付かない。
「イヤッ……イヤッ……駄目ッ……もう、もう我慢できない……」
美優の忍耐力を凌駕した便意が、ショボショボと透明な液体をアヌスから溢していく。
せめて排泄音だけでも消そうと、美優は慌ててタンクに手を伸ばした。
(ど、どうして!? 水が、水が出ない!?)
水を流そうとレバーを動かすがまったく反応がない。
「み、見ないでッ……あ……ああっ」
内側から肛門を叩きつけていた便意が、わずかに開いた出口からひしめき合うようにドドッと溢れ出てこようとする。
こうなっては排便のコントロールなど出来るはずもなく、腸内で激しく蠢いていたものが堰を切ったように勢いよくほとばしっていった。
「ああ……いやあぁぁ!」
シャアアア―――シュバ、シュボッ―――
「おお、これは凄い! どんどん出てきますよ、奥さん! いつも眩しいくらいにお美しかった奥さんが、まさかこれだけ派手にひり出すとは! はっはっ、感動もんだ!」
大村の視線を背後に感じながらも、止められないでいる排泄を続けながら美優は顔を真っ赤にして泣いた。
排泄を目の当たりにされるというのはあまりにも耐え難い行為だった。
「どれどれ、宿便はちゃんと出てきましたかな?」
事も有ろうに、トイレ内まで入り込んでくる大村。
さすがの美優もこれには怒りを露わにして叫んだ。
「こ、来ないでください! 変態ッ! 出ていって!」
排泄物を見られる恐怖から、水が流れないと分かっていても何度もレバーをガチャガチャと動かす美優。
「おうおう、少しは出てるようですな。よかったよかった」
大村は、しゃがんだ豊尻の隙間から排泄物を覗き込むと、愉快そうに笑いながらトイレを後にした。
美優は、しばらくのあいだトイレから出ることが出来なかった。
大村の非道な仕打ちが、どうしても許せなかった。
心の中で自分の態度を模索しては涙が溢れ、もうどうしていいのか分からない。