第三章 肛虐の宴-7
「うああぁぁ……き、きつい……も、もう……駄目です」
弱音を吐く美優を一瞥し、大村は四個目のイチヂク浣腸の容器をペチャッと躊躇いなく押し潰した。そして、最後のひとつを手にすると、容赦なくノズルを差し込んでいった。
「これで最後だ。我慢しなさい」
「あ……あ……んくっ……い、痛い……お腹が……」
激痛と共に、じわじわと押し迫ってくる便意。
優美な背中に玉のような汗が無数に浮かんでいく。
真っ白な歯をカチカチと鳴らし、美優は苦痛に喘ぎながら再び膝をついて身体を丸めた。
「もう、もう限界です……お、お願いします……トイレに、トイレに行かせてください」
「まだ駄目だ。もうちょい我慢しないと、せっかく浣腸が無駄になってしまう」
「で、でも……もう限界なんです……あ……ううぅ」
美優はギュッと自身の胸を抱いた。
グリセリン液が肛門や腸壁の粘膜を激烈に刺激している。
下腹部や臀部が燃えるように熱い。
「はあっ……あ……お願い、早く……早くトイレに行かせて……」
限界にまで迫っている便意が、美優の思考に何度も危険を送ってくる。
美優は、唇を噛み締めたまま激しくかぶりを振った。
「もうちょっとだけ頑張りなさい」
いまにも爆ぜそうな便意……裸身にネットリと脂汗を浮かべ、必死で下半身に力を込め続ける。
腸内で暴れまっている便意に、もう片時もジッとしてられない。
髪を振り乱しては歯を鳴らし、哀願に満ちた貌を大村に向けて訴えつづけた。
「よし、もういいだろう。さあさあ、トイレはその廊下の先にある。思いっきり出してきなさい」
大村が言い終わらぬうちに美優は起き上がっていた。
片手を腹部にあて、もう片方の手ではヒップを押さえて小走りにトイレへと向かう。
ガチャ―――
急いでトイレへ入りドアの鍵を閉めようとするが、そこには扉のノブ以外には何もついていなかった。
「か、鍵がない!?」
もう便意はそこまで来ている。焦りは一気にピークへ達した。
「奥さん、ここのトイレには鍵なんてものはないよ。そんなことは気にせず、思いっきり出しなさい」
ドア越しに聞こえてくる大村の言葉を聞き、美貌がただならぬ恐怖に青ざめた。
便器は眼の前にある。
しかし、異様に奥行のある和式トイレの構造に、嫌な予感がしてならない。
正面を向いて用を足すように設置されているため、ドアを開けられでもしたら排泄の様子が丸見えになってしまう。
しかし、もう美優には考えるだけの余裕がなかった。