第三章 肛虐の宴-2
「奥さん、私もなんだかさ、一枚ずつ渡すのがまどろっこしくなってきてねぇ」
「えっ……?」
「いや、だからさ、今日の奥さんの態度次第ではね、残りの写真とネガをすべてお渡ししようと思って」
「ぜ、全部ですか? 残りをすべてお渡しいただけるんですか!?」
大村の意外な言葉に、美優がパッと顔をあげて聞き直した。
「ええ、そうです。全部です。ただし、奥さんがどこまで積極的に乱れてくれるか……それで判断させてもらいますがね」
大村が、顔を向けてにやりと笑う。
「わ、分かりました。しかし、どのようにすれば大村さんが納得いくのか……正直言って、分かりません」
「なあに、簡単なことですよ。私のする事にいちいち拒絶反応を見せなければいい。ただそれだけですよ。ふふふっ」
大村は意味深に言うと、さっそくと言わんばかりに美優を抱き寄せて唇を重ねてきた。
「うっ……んんっ……」
唇をしゃぶられ、ムカつくような息と唾液を口腔内へ吐き出されながらも、美優は少し苦悶の表情を浮かべただけで自らも舌を差し伸ばした。
蛭のようなヌラついた舌が歯の裏に当ってくれば、そこへのろのろと舌を向かわせていく。そして自分のほうから積極的に舌を絡めとってはヌチャヌチャと粘膜を擦りたて、底に溜まった唾液をグッと嚥下してやる。
「ふむ……実にいい感じだよ、奥さん」
満足気に言いながら、ワンピースの上からガバッと大村の手が豊潤なヒップを掴みあげてきた。
キュンッと釣り上がった形の良い尻丘をゆるゆると揉みまわし、上ではネチッこく口唇を嬲りたてる。
その濃厚なキスの仕方には、まるで美唇の粘膜をすべて自分の味に変えていくかのような、そんな粘着的なものがあった。
「ん、んん……」
大村は、しばらくのあいだ着衣の上からネチネチと美優の熟れた肉体を弄んでいたが、焦れてきたのか不意にワンピースを剥がしにかかった。
ワンピースを失った肉体から、スリットやブラ、ショーツを次々と手際よく剥がしていく。
立ったまま、美優はあっという間に素っ裸にされた。
「私とセックスするようになってさ、奥さん、女の色気がぐんと増したんじゃない?」
厭らしく言う大村の囁きに、美優の真っ白な肌が微かに色づいた。
色気が増したかどうかなんて自身では分からないが、肉体が確実に淫靡さを増していることは否定出来なかった。
正直なところ、夫との淡白なセックスにおいては多少なりとも演技していた部分があったのかもしれない。
しかし、大村とのセックスでは違う。
漏れる声も、吐息も、身体の震えも、沸いてくる感情をありまま見せていた。いや、堪えようにも堪えきれなかったのだ。
大村によって確実に開花されていく肉体―――今や美優の恐怖はそれが一番になっていると言っても過言ではなかった。