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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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ロスト・バージン!?-6








静まり返った部屋に、キン、とジッポの蓋が閉まる音が響く。


ハーッと白い煙を吐き出す息遣いに呆れたようなため息が混ざっていたのは、おそらくあたしの勘違いではないだろう。


そんな彼のため息を聞きながら、あたしはベッドの上に座り込んだまますすり泣いていた。


「……そんなに怖えなら、なんで処女捨てたいなんて軽はずみなこと言うんだよ」


備え付けの革張りの黒いソファーに腰掛けていた臼井陽介は、その長い脚をドカッとローテーブルに乗せてあたしを睨み付けながら言った。


「…………」


「セックスする度胸もねえくせに、すれた女気取って好きでもない男誘って振り回してんじゃねえよ!!」


本気で怒っているその口調に、あたしはビクッと身体を震わせて固まってしまった。


……コイツの言う通りだ。


処女を捨てたいと言っておきながら、また土壇場で怖じ気づいて逃げ出して。


これが恋人じゃない臼井陽介だったから、こうやって叱られているわけだけど。


ふと優真先輩の悲しそうに笑う顔を思い出す。


結局こうやってあたしは優真先輩を振り回してばかりいたから、彼は紗理奈先輩に逃げてしまったんだ。


浮気していた優真先輩だけを責めるのはお門違いだ。


そうさせたのは、あたしにも原因があるのだから。


あたしはたまらなく自分が情けなくなって、嫌気がさして、ボロボロ涙をこぼしながら振り絞るような声で、


「……ごめんなさい」


と頭を下げた。


また訪れる気まずい沈黙。


静まり返った部屋には、暖房がフル回転しているエアコンの空調の音が響いていた。


やがて彼は大きな大きなため息を吐くと、煙草を灰皿に押しあてて火を消した。


そしてゆっくりと、あたしが座り込んでいるキングサイズのベッドに近付いてくる。


緊張で高鳴る心臓。蛇に睨まれた蛙みたいに動けない身体。


そんなあたしを尻目に、彼はどっかりとあたしと対峙するように座り込んだ。


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