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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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ロスト・バージン!?-4

臼井陽介は、部屋の内装が写真付きで表示されている案内板の前にあたしを連れてきた。


どうやら空室の所だけ電気がついているものらしく、ほとんどの部屋の写真がついたディスプレイが消えている。


彼は慣れた手付きで電気がついていた部屋の一つを選んで、脇にあったスイッチを押した。


すると、缶ジュースが出てくるみたいに、案内板の下の方に鍵が落ちてくる。


303号室、スタンダードタイプ。


ラブホらしくないスタイリッシュな部屋がディスプレイの中に並んでいた。


あたしが生唾を飲み込んでいると、奴は素早く取り出し口から鍵を拾い上げて、再びあたしの肩を抱く。


そして、


「……行くぞ」


と、ゾッとするほど低い声でそれだけ言うと、ちょうど空いていたエレベーターに向かって歩き出した。








ガチャリとドアが閉まる。


ムンと暖かい空気に身が震え出した。


投げ捨てるようにスニーカーを脱いだ彼は、あたしにも早くブーツを脱ぐように目で急かす。


まごつきながらもやっとブーツを脱いで一歩踏み出した途端、彼はあたしの手をこれ以上はないってほど力強く引いて、室内へと導いた。


部屋は思ったよりも広かった。


ビジネスホテルみたいな狭い所を想像していたあたしは、思わずキョロキョロあたりを見回してしまう。


あたしのアパートより広いかも……。


そう思いながら、バスルームやトイレの方を確認しようと足を進めた瞬間、一気にバランスが崩れてしまった。


視界に映ったのは鏡張りになった天井。


そこには、あたしの身体に見慣れたライダースジャケットが覆い被さっている所が映し出されていた。


間髪入れずに彼はあたしのコートのボタンに手をかけて、器用に一つ一つ外していく。


その一方で、彼の左手があたしの太ももの内側を撫でてきて、その手の冷たさにあたしは飛び上がりそうになった。


「やっ……! 臼井くん……ちょっと……やめ……」


反射的に彼の身体を押し退けてしまうけど、びくともしない彼は、今度はあたしの首筋に舌を這わせてきた。







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