ロスト・バージン!?-2
目の前の臼井陽介は、複雑な顔であたしを見ている。
コイツの言う通り、男の人はエッチのできない彼女なんて別れるか、他に女を作らないとやっていけないのだろう。
今まで守ってきた自分の身体は、何の価値もないものだった。
むしろ、処女じゃない方が男の人を繋ぎ止めていられるのなら……。
いつもゼミで見る、紗理奈先輩のセクシーな胸元、スベスベの白い太ももが頭をよぎる。
――だったら、バージンなんてもういらない。
あたしは2、3秒ほど目を閉じてから、ゆっくり臼井陽介の顔を見上げた。
超がつくほどの女ったらし。
コイツなら好きな女じゃなくてもエッチできるでしょ。
あたしは、彼の目を真っ直ぐ見つめたまま
「臼井くん……、あたし処女捨てたいの。だから協力して」
と、あの時相談したような口調で、そう呟いた。
しばし訪れた沈黙。
彼の表情は晴れないまま、あたしを睨み付けていた。
「何でそんな怖い顔すんのよ。別に付き合ってとか言ってるわけじゃないし、ただ後腐れなくセックスしてくれたらいいんだから。
臼井くんは、誰でもエッチできるんでしょ?」
一向に苦い顔をしたまま黙っている臼井陽介に苛立ったあたしは、そうやって挑発するような口ぶりで睨み返してやった。
そう、コイツも優真先輩と同じ、浮気できるような男なんだし、あたしが処女を捨てるのには後腐れがない、最適な相手なんだ。
今のあたしには、処女なんてお荷物以外の何物でもなかった。
その時、突然あたしの右手がグッと掴まれた。
驚いて顔を上げると、臼井陽介は舌打ちを一つしてから、苦虫を噛み潰したような顔のままあたしの手を引いて、大学を出た。