望み-2
「っ……はあっ……はぁ……はぁ……」
「はふっ……」
ぐったりとカリーにのしかかったゼインは、彼女の身体を隅々まで撫でるように愛撫する。
カリーは心地良さそうに少し微笑んでいた。
今までこういう行為は男の欲望を満たすだけのものだとポロは思っていたのだが、この2人を見ていると男女共に気持ち良さそうで……今まで自分が体験していたのとは別物のように感じた。
なのに、この2人は恋人では無いんだそうだ。
そこが不思議でならない……行為中の幸せそうでありながら困ったような表情を見せるカリーや、何度も唇を奪おうとしては止めているゼインを見ているとモヤモヤする。
何かが2人にストップをかけている……ゼインは元奴隷だと言ってたから躊躇する気も何となくわかるが、カリーの方は……などと考えている内に、絶頂後の疲労感に襲われてポロは眠りの世界に旅立ってしまった。
その後見た夢は、ゼインとカリーに激しく抱かれる、というとんでもないもので……ポロの欲求不満はまだまだ続きそうだ。
「あふぁっ」
翌日、山道を歩きながら大きく欠伸をするゼインを、ポロは低い位置から見上げる。
「んあ……何だ?」
涙目で見下ろすゼインにポロは首を横に振って何でも無いと伝えた。
「疲れたか?おぶろうか?」
体は小さいのに力持ちのゼインは背中に大きなバスタードソードを背負ったうえに、大きな荷物も背負っている。
ゼインとカリーに拾われてから2週間ぐらいたって、ポロにも大分体力がついてきた。
それでもガリガリだし筋肉も贅肉も少なく、ゼイン達について歩くのは大変だ。
しかし、彼らは冒険者なので常にお金がある訳じゃなく稼ぎながら旅をする。
今もゼインが背負っているのは山ひとつ越えた街に荷物を届けて欲しいという依頼を受けて運んでいる物だ。
中身は大量のワクチン……今から行く街では病気が流行しているらしい。
「別にお前が増えても大して変わんねぇから気にすんなよ」
「?!」
ゼインはそう言ってポロの襟首を掴んでひょいっと背負っている荷物の上に乗せた。
ポロは驚いて荷物にしがみつき、落ちないように小さな体を荷物とゼインの体の間に滑りこませる。
まるでゼインに肩車されたような感じになったが、ゼインは満足して歩き始めた。
本当に疲れた訳じゃなかったのだ……ただ、その欠伸は昨夜激しかったからね、と突っ込みたかっただけなのだが……まあ、いい……本当に疲れて倒れてしまったら余計に迷惑をかけてしまう。
ポロはゼインの灰色の髪を軽く掴んで体を支え、この行為に甘える事にした。