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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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望み-13

「それがある日、姿を消した。『これ以上甘えられない』って手紙置いてな……あの後、アイツがどうなったか気になってる」

 まだ夢を見てうなされいるのか……少しは幸せなのか。

「それとカリー……ワケわかんねぇ元奴隷の俺にくっついてくる物好きな女」

 別に一緒に行こうと誘ったワケじゃないし、誘われたワケでもないのにいつの間にか一緒に居るのが当たり前になっていた。

「最後にポロ」

 ゼインの言葉にポロは驚いて息を飲む。

「初めは厄介者だったけど、今はお前が幸せになれたらいいと思ってる」

 ゼインはポロを見て優しく微笑んだ。

「とりあえず、お前の声が聞きたい……その次は笑ってる顔が見たい……んで、人が好きになれりゃいい」

 パチパチと瞬きするポロ……そんな風に思われる価値が自分にあるとは思えない。

「……俺の話は終わり。もう寝ろ」

 命令口調で言われたポロはモヤモヤしたままだったが、素直にもうひとつのベットに潜り込んだ。
 結局、質問の答えになってないのだがそれよりもゼインとカリーが自分に向ける好意が何ともむず痒い。

 ゴミ同然だった自分を拾って、そんな自分に抱きつかれただけで酔いつぶれるぐらいに喜ぶカリー。
 幸せになって欲しいと望んでくれるゼイン。

 ふと頬を何かが流れた。

「?」

 不思議に思って手をやると濡れている。

(……涙?)

 痛い、苦しい、怖い……自分が涙を流す時はこの3つが原因だったのに、今はどれも当てはまらない。
 視線を動かすと向かいのベットに眠るカリーと、ソファーでバスタードソードの手入れをするゼイン。

 イキタイ

 2人と一緒に行きたい……2人と一緒に……生きたい……ポロの口角がほんの少し上がる。

 それが笑顔だという事を、ポロはまだ知らない。


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