『無題』-1
なんだここは?なんでこんなところに閉じ込める?熱い。
俺は六人家族の家に住んでいた。とても狭かった。俺は縦にも横にも大きかったし、家族も似たような体型の家族だったので、家の中はぎゅうぎゅうずめだった。部屋は一つ。トイレも風呂もない。ただただ六人で体を寄せあって暮らしていた。俺の家の周りには、たくさんの六人家族がいた。みんな俺の家と同じように、狭い部屋で住んでいた。なかには、一人で家に居座っている体の大きな奴もいた。
俺達家族には、時期が来たら、順番にある場所に移動させられることになっていた。そして俺達家族も移動させられた。そこでは、いきなり家の屋根が壊され、家族のメンバーが一人ずつ家から出され、二度と戻って来ることはなかったという事件が起こった。しかも一人家族が連れ去られるごとに、屋根はきちんと直され、そしてしばらくするとまた屋根が壊され、家族が連れ去られ、そして屋根が直された。そしてとうとう家族で残っているのは、俺一人になった。家がとても広く感じられた…
とうとう俺も家から出された。誰もいなくなった家はぐちゃぐちゃにつぶされた。俺はまず、冷たい床に寝かされ、ナイフで体を切り付けられた。切られた傷から、黄色い油のようなものが出て来た。そして次は黒い網か何かに寝かされ、閉じ込められた。そして背中からいきなり火を当てられた。熱い。体をよじらせるが、体が動かない。ふと横をみると、姉さんがいた。姉さん!叫んだが、声は届かない。姉さんも俺と同じく体を切り付けられ、黄色い油を出していた。その間にも、体は黒くなりつつあった。俺の体が燃えている!助けてくれ!
…ふと、自分の体が臭い出した。なんだこの香り?俺が奇妙な臭いを発している。それに黄色い油も。俺の体がどんどんおかしくなってきている!もう全然体も動かない…姉さんもどす黒く変わり果てた姿でよこたわっている。死ぬってこういうことなのか……俺の意識はそこでとだえた……
『チン♪』
こうして、香りがよく、バターがぬられた二枚の食パンがおいしく焼けましたとさ。