ダブルデート-7
出会いは、よくある合コンだったらしい。
合コンと言っても、高校生だからみんなでカラオケとか、ボウリングとかして遊ぶというような他愛のないもので、例に洩れず土橋修らはカラオケで盛り上がっていたそうだ。
その合コンは男3、女3で、土橋修以外の二人は郁美狙いで、二人して郁美の機嫌をとったりしていたらしい。
人数合わせで来ていた土橋修は、マイペースで遊んでいて、それなりに楽しんでいたそうだ。
夜になり、解散となったところで、郁美が唐突に土橋修にメールアドレスを交換したいと言ってきて、郁美狙いの二人は見事に撃沈したらしい。
土橋修はそんなに郁美と話をしたわけじゃないのに、何の気まぐれだろうと不思議に思ったそう。
でも、それは気まぐれではなく、アドレス交換をしてからは頻繁に郁美からメールが来たり、電話が来たりするようになり、二人が出会って約二週間後、郁美の方から告白されたそうだ。
最初は郁美狙いの二人に遠慮して、断るつもりだったらしいけど、土橋修が郁美に告白されたことを知った二人は悔しがりつつ、
「郁美さんと付き合うのは許せないけど、お前が郁美さんを振るのはもっと許せない」
とよくわからないことを言うから、好きな人もいなかった土橋修は、軽い気持ちで告白を受けることにしたらしい。
「俺だったら、自分の好きな奴が他の男と付き合うのを勧めるなんて考えられないけどね。お、頼んだやつ来たみたいだぞ」
土橋修はもう自分の話をさっさと切り上げると、お冷やを端に寄せて、トレイを乗せるスペースを作り始めた。
程なくして、
「お待たせしました〜」
と、店員さんが明るい笑顔で注文した料理を次々と運んできた。
私達も、お冷やのグラスを端に寄せたりしてトレイを置くスペースを空けたり、割り箸を配ったりして、食事の準備を整え始めた。